強固な“絆”が結ばれ、ファンが
エバンジェリストの役割も担うように

 プロジェクトの成果は上々で、ファンとの距離は間違いなく縮まった。しかも、ファンとの間には強固な“絆”が結ばれたという。

「わざわざ手書きの手紙を送ってくれた会員もいらっしゃいます。ある会員は、『ESPRIQUE』をイメージした曲を作曲してくれました」(湯地さん)

 コミュニティへの参加によって、同ブランドへの愛着が増していることも収穫であろう。コミュニティ内での行動を分析したところ、「ドレッシングルーム」の会員は一般の顧客よりも熱狂度が高いことが判明。しかも、同ブランドの推奨意向も強いことが浮き彫りとなった。セルフ販売方式のマス商材でありながら、「このコスメ、絶対にいいから使ったほうがいいよ!」と自発的に営業支援を行ってくれるのだ。

「結局、この戦略の最大の目的は、『ESPRIQUE』の熱狂的なファンに同ブランドのエバンジェリスト(伝道師)となっていただくこと」(田嶋さん)

 田嶋さんたちはマーケティングコンサルを手掛けるトライバルメディアハウスの助言をもとに、熱狂度と推奨意向の高い顧客の行動に注目。熱狂的推奨者はLTV(年間購入金額)が高いという客観的データを出ているが、それを「ESPRIQUE」というブランドにおいても実証しようとしている。

「これまでは小規模な展開でしたが、今後は規模を拡大したい。そして、熱狂度・推奨意向とLTVの関係を実績で明らかにしたいですね」(田嶋さん)

 ●熱狂度と推奨意向が極めて高いドレッシングルームの会員
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