主体性を引き出す基本は、「自分は何が好きで、何をしたいのかを考えさせる」こと

 このテーマを書き進める中で、ゴールドマンサックスやマッキンゼーといった国際的な一流企業で若手の出世頭だったにもかかわらず、自らNPOやベンチャーに移ったり、起業してさらにその分野で早期にリーダー的な存在に駆け上がった友人たちに、自らが受けてきた家庭教育の特徴を幅広く聞いた。そこで一番多かった回答は、「自分にとって何が大切で、自分は何が好きなのかを常に問い続ける教育」であったということだ。

 家庭や学校において「勉強しなさい」ということは言われなかったが、ことあるごとに「自分は何が好きで、何をしたいのか考えなさい」と幼少期から促され、自分を見つめる習慣が身についていたというのだ。

 そんな友人の一人で、某外資系金融機関からNPOに移った女性は、会社に入ったのも国際援助機関に移る前に民間金融機関で基本的な金融実務の知識を身につけるという明確な目的があったので、それを身につけた3年でスッパリ辞めた。これに対し同期には、単にお給料がいいから、という理由で自分が人生で何をしたいのか考えることもなくダラダラ在職している人が多いことに問題意識を感じたという。そんな周りに流された生き方では、お金は儲かっても決して幸せではないとわかっている、というのだ。

 自分にとって何が大切で、自分は何をしたいのかを知り、周りに流されず主体的に人生を切り開く一流の子どもたち。

 この、リーダーとして成功するうえで不可欠な主体性を、世の素晴らしい家庭教育の達人たちはどのように育んでいるのだろうか?

本書の本編では、自己実現のための要とも言える「主体性」を伸ばすための具体的な教育法を、ミセス・パンプキンと皆さまとともに考えていきたい。

(*以上の原稿は、『一流の育て方』からの抜粋です)