本格的ケース・インタビューの
主要な5パターン

 架空の設定を用いたケース・インタビューには、能動的、受動的、記述式、グループ、プレゼンテーションの大きく5つの形式があり、進め方がそれぞれ異なる。

(3)能動的ケース・インタビュー

 昔から一般的に行われている能動的ケース・インタビューでは、クライアントの役割を演じるインタビュアーが、非常に漠然とした質問を志望者に投げかける。たとえば、「われわれは南米市場に参入すべきか」や、「現在われわれは多額の損失を計上している。どのように状況を立て直せばよいか」といったものだ。

 インタビュアーは最初に質問を投げかけた後は、たいてい口を閉ざす。志望者はケースについて質問をしたり、関連するデータの提示をインタビュアーに求めたりすることができる。最初にインタビュアーからいくつかのヒントが出される場合もあれば、志望者が具体的なデータの提示を求めない限り、インタビュアーはずっと(30分前後)黙っている場合もある。

 このタイプの問題は非常に漠然としており、インタビュアー側から議論の進め方に関する明確な指示もないので、私はこれを「能動的ケース・インタビュー」(志望者主導ケース・インタビュー)と呼んでいる。その他のケース・インタビュー形式はこれを基本として作成されている。そのため本書では、能動的ケース・インタビューの攻略法について、1章(第5章)をまるまる割いている。

(4)受動的ケース・インタビュー

 受動的ケース・インタビュー(インタビュアー主導ケース・インタビュー)で必要となる問題解決スキルは、能動的ケース・インタビューと何ら変わりはないが、インタビュアーと志望者の立ち位置が大きく異なる。マッキンゼーはほとんどの場合、受動的ケース・インタビューの形式を用いるので、志望者はこのタイプの面接がどのように行われるかについて、精通しておく必要がある。

 受動的ケース・インタビューには、以下に述べる2つの際立った特徴がある。

●受動的ケース・インタビューでは、出題されるケースにおける重要なポイントや、どのような質問が有意義かをインタビュアーが説明したうえで、質問を志望者に投げかけて、志望者がそれに答えるという形式をとる。これとは対照的に、能動的ケース・インタビューでは、クライアントが抱える問題を解決するためにどのような質問が有意義かを志望者自身が考えて、その質問に志望者自らが答えていく形式をとる。

●受動的ケース・インタビューでは、ケースに関する議論の流れが不規則である。たとえば、出題されるケースに4つの主要なポイントがある場合、一般的な能動的ケース・インタビューでは、志望者が最も重要なポイントを特定して、その点に関する分析を行ってから、2番目に重要なポイントの特定と分析へと議論を順々に移行させていき、最後に結論を述べるという流れをとる。

 これに対し受動的ケース・インタビューでは、インタビュアーがケースの中で最も重要だと思うポイントとその理由を志望者に問いかけた後で、(志望者の回答がどのような内容であるかにかかわらず)いきなり「では、次に4番目のポイントについて考えてみよう」と切り出したりする(それが最重要ポイントでないこともある)。受動的ケース・インタビューでは、論点があちこち飛ぶのは普通のことで、それをあらかじめ想定していなければ、本番で動揺しかねない。

(5)記述式ケース・インタビュー

 記述式ケース・インタビューでは、最初に非常に多くの図表やグラフ(5~40個程度)が志望者に与えられる。志望者は通常、1~2時間程度ですべての情報に目を通し、その後に記述式のテストを受けることになる。この変形版として、ケースが最初は記述式で始まり、そこから徐々にグループ・ケース・インタビューやプレゼンテーション形式のケース・インタビューなど、他のタイプに移行するものもある。

(6)グループ・ケース・インタビュー

 グループ・ケース・インタビューでは、通常4人程度の志望者に対して1つのケースが出題される。インタビュアーは志望者のグループに対していくつかの図表を提示し、ケースに関する質問を投げかけた後は、志望者たちがお互いに議論して問題を解いていく様子を見ている。このタイプの面接でよい評価を得るコツは、採用上は“ライバル”となる他の志望者を批判したり、おとしめたりするのではなく、協力姿勢を示して前向きにサポートすることである。

(7)プレゼンテーション形式のケース・インタビュー

 プレゼンテーション形式のケース・インタビューは、一部の内容が記述式ケース・インタビューと重なっている。記述式ケース・インタビューと同様に、志望者は最初に数多くの図表やグラフを与えられ、1~2時間程度で情報の分析を行い、そこからわかることと結論をスライド形式にまとめることが求められる。

 プレゼンテーション・スライドを作成した後で、志望者はインタビュアーと初めて対面し、インタビュアーはプレゼンテーションの質のみを判断基準として志望者の合否を決める。インタビュアーは、志望者が与えられた資料を分析して問題を解けっしていく様子をまったく見ていない。分析結果と問題解決の提言のプレゼンテーションだけを見て評価する。

 続きは、3月25日公開予定です。