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ビッグバン・イノベーション
【第4回】 2016年3月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
ラリー・ダウンズ,ポール・F・ヌーネス,江口泰子

「もしiPhoneに採用されたら?」
で見抜く「生き残る企業」の条件

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「成功した企業が、みずからの成功に呑み込まれる」
イノベーションを起こそうと息巻く企業やスタートアップにとって、これほど不吉な言葉はないだろう。だが、シャープエアビーアンドビーも、まさにみずから成し得た成功で、みずからの首を絞めてしまった。
爆発的成長を遂げているまさにそのピークに、突如として市場飽和を迎え、顧客に一斉にそっぽを向かれる――ビッグバン・イノベーションの第3ステージ「ビッグクランチ」への移行はあまりにも急激で、企業にとっては命取りともなりかねない。苦しい闘いを余儀なくされている日本家電業界について、『ビッグバン・イノベーション』著者2人はこう述べる。

わずか10週間の製品寿命
ソニー「エクスペリアZ」の受難

ビッグバン・イノベーションの4つのステージ。爆発的成長期のあとに待っているのは、急激な落ち込み、衰退である(『ビッグバン・イノベーション』96ページ)
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イノベーター企業がつい見過ごしてしまいがちなのは、熱しやすく冷めやすい顧客に、一夜にしてそっぽを向かれるという危険性である。よりよく、より安い選択肢が目の前に現れると、顧客はすぐに、時にはその場で乗り換えてしまう。かつて何年も何十年もかけて飽和した市場は、今ではほんの数ヵ月か数週間で飽和する。

 めまぐるしいスピードで変化する日本の家電業界において、モバイル機器メーカーは、携帯電話通信事業者に急き立てられて、数か月ごとに新しいモデルを発売する。低迷するエレクトロニクス事業の立て直しを図るために、モバイル領域への路線変更(ピボット)を目論むソニーにとって、製品ライフサイクルの短命化は大きな重圧である。

 ソニーが2013年2月に発売したエクスペリアZは、発売後わずか10週間で60万台以上を売り上げるヒットとなった。だが、その後すぐに売れ行きはストップし、同年5月には生産を終了する。他国の市場に投入する間もないままに、ソニーは日本の消費者に大急ぎで新製品を提供しなければならなくなったのだ。

 このとき、ソニーが直面した状況はさほど珍しくはない。指数関数的技術が主導する市場において、破壊的製品やサービスのライフサイクルは短く、ほろ苦い。(『ビッグバン・イノベーション』236ページ)

 それでは、どのような姿勢で臨むべきなのだろうか。2人は、あるガラスメーカーを例に挙げて、こうメッセージを送る。「たとえiPhoneに採用されようが、次の一手を打ちつづけろ」と。

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    シリコンバレー在住のコンサルタント。それまでの市場を破壊するような技術が登場した際、それがビジネスや政策にどう影響を与えるのか、過去30年にわたりコンサルティング、講演、執筆している。特にインターネットに関するテクノロジーに強い。 アーサーアンダーセン、マッキンゼーなどのコンサルティング会社を渡り歩き、現在はアクセンチュアのフェロー(ハイパフォーマンス研究所)。突如起こった技術革新により、産業構造がどう変わっていくのか、長期的な観点から研究している。ウォールストリート・ジャーナルやブルームバーグ、フォーブス、エコノミストなど、数多くの雑誌に寄稿しており、そのうちForbes.comでの記事は累計350万PVを誇る人気に。著書に、“The Laws of Disruption”(未邦訳)。

    ポール・F・ヌーネス(Paul F. Nunes)

    アクセンチュアのハイパフォーマンス研究所で、リサーチ担当グローバル・マネージング・ディレクターを務めている。1986年以来アクセンチュア一筋のマーケティングのプロで、ITの進化をビジネスに活かし、予測に役立てるという目的のもとに、ハイパフォーマンス研究所設立に動き、分析を続けている。その研究成果は数々のメディアでも紹介され、また、賞も受賞している。共著に、“Jumping the S-Curve”(未邦訳)。

    江口泰子(えぐち・たいこ)

    法政大学法学部卒業。編集事務所、広告企画会社を経て翻訳業に従事。主な訳書に『道端の経営学』(ヴィレッジブックス)、『ビッグバン・イノベーション』『考えてるつもり』(ともにダイヤモンド社)、『使用人たちが見たホワイトハウス』(光文社)、『ケネディ暗殺 50年目の真実』『21世紀の脳科学』(ともに講談社)、『マイレージ、マイライフ』(小学館)、共訳に『真珠湾からバグダッドへ』(幻冬舎)など。


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