耐震改修を進めやすい
法律の改正

──老朽化したマンションは、災害時の脆弱性も懸念されます。特に耐震性能が不安です。

 05年に耐震強度偽装事件が起きました。あれはマンションの瑕疵(かし:不具合のこと)に当たるのですが、よく考えたらあのとき退去勧告が出た程度の耐震性しかないマンションは、旧耐震物件の中にたくさんあるのです。そうした旧耐震マンションは放っておいていいのかということで、耐震診断と耐震改修を進めるべく、耐震改修促進法が改正されました。

 さらに13年には同法の2回目の改正が行われています。具体的には、それまで耐震改修を進めるには管理組合総会の4分の3以上の合意が必要でしたが、耐震改修の必要性の認定を受けた場合には、同2分の1以上でできるようになりました。より再生しやすく、法律が整えられたわけです。

──耐震診断の重要性は意識しつつも、診断結果が「耐震性不足」だとマンションの資産価値が落ちるのではないかと考え、踏み切れない管理組合も少なくありません。

 そこにもやはり、専門家のサポートが必要ですね。管理会社は管理業務だけをしていればいいのではなく、ある程度の築年数がたったら、管理と再生を分け、「ここからは再生を視野に」と情報提供していくべきです。改修か、建替えか、除却・売却かというメニューもきちんと提示する。特に、長期修繕計画に基づく大規模修繕の3回目を、やるかやらないかは大きな違いになります。更新して資産価値を高めるか、住居として最低限の機能維持をとるかを、3回目の決断の前に下す方がいい。

──大規模修繕を早々に済ませてしまうと、再生に向かう原資が不足しかねない、ということですね。

hyoushi

この記事が収録されているダイヤモンドMOOK『マンション再生シリーズ2016 あなたのマンション・団地が生まれ変わる!』の詳しい内容はこちらからご覧いただけます。

■大規模修繕・耐震化・改修・建替えの最新情報をお届けしている特設サイト『あなたのマンション・団地が生まれ変わる! Online』もあわせてご覧ください。資料を無料でご請求いただけます。