多様な用途に使える
独自の会話エンジン

塩澤 繁
リクルートテクノロジーズ
ITソリューション統括部
アドバンスドテクノロジーラボ

 会話エンジン「TAISHI」を開発したのは、リクルートテクノロジーズの研究開発機関アドバンスドテクノロジーラボ。3年の歳月をかけて機能を進化させてきた。テキストベースでの会話はもちろん、Pepperのように音声認識機能や読み上げ機能を組み合わせれば、音声でのやりとりも可能だ。

 同ラボの塩澤繁氏は「当初は人の声を聞き取ってスマホのカレンダーにスケジュールを登録するといった簡単なものから始まりました」と振り返る。その後、ソーシャルメディア上で自由に会話できるキャラクターを開発して、1700万人(※3)のユーザーに利用されるまでに進化。人工知能の技術を使った会話エンジンは他にもあるが、コストと応用力とレスポンスの速さで優位性があるという。

「クラウドサービスとして提供しているため、使いたいデバイスがあればすぐに利用できます。スマートフォン、ロボット、そして今回はWebサイトに適用しました。また、会話用の辞書を追加することで、簡単に適用分野を広げていくことができます。今回のスミヨ向けのチューニングも3ヵ月で完了しました。会話エンジンという資産を持っていて、応用が利くのが大きな強みです」と塩澤氏。

 同社の会話エンジンは、受け取った文章の意図を解析し、あらかじめ用意された会話パターン、語群の中から最適なものを探し出して回答するスタイルを取る。今回の場合にはスーモカウンターで実際に対面で接客してきたアドバイザーたちからQ&A情報を集めて「住宅辞書」を作った。西氏は「そこにはスーモカウンターで培ってきた現場のアドバイザーのノウハウが生かされています」と語る。

人とロボットの分業で
顧客満足度向上を

 会話エンジン「TAISHI」の活用はまだ始まったばかり。Pepperは簡単な会話ができる程度だったが、今回のスミヨではよりビジネスに近いところまで踏み込んでいる。今後どこまで進化していくのだろうか。

「スーモカウンターは、アドバイザーという実際の人間が介在するスタイル。そこに抵抗感を持つ人も、スミヨであれば気軽に質問できるはずです。これから実際のやりとりの実績データを収集して、回答の精度をさらに上げていきたい」と西氏は今後の展開を語る。

 塩澤氏は「PepperとTAISHIを組み合わせ、利用した人たちの属性と実際の会話データを関連させて分析することにも挑戦したいですね。これまで人がやってきたことをAi、ロボットがサポートすることで、人とロボットの分業も進むのではないでしょうか」と将来像を語る。

 同社では今後、リクルートグループ内でのTAISHIの利用を広げるとともに、他社への技術提供も視野に入れていきたいという。Webサイトのコンシェルジュサービスや業務用Pepperなど利用シーンも増えるはず。TAISHIがビジネスをどう変えるか楽しみだ。

※3 2016年2月時点。