一方、筆者の預かる研修のスタート時に「電卓」が机の上に置かれている人は、持ち物も、そして心構えも、しっかり準備ができている人です。こういう人は、しっかり研修内容を吸収していくことができます。
 ですから、筆者は研修開始1秒で、今日のメンバーの中で「数字に強くなれない人」がわかるのです。

「スマホ」で計算するのはやめなさい

 このような話をすると、こう思われる方もいることでしょう。

「スマホの電卓アプリがあるんだから、それで計算すればいいじゃないか」

 なるほど……。確かに電卓機能はあります。でも、筆者はふたつの理由で「スマホで計算するのはやめなさい」と主張します。

 まず、ひとつめ。たとえば、あなたが高級ブランド店での買い物や、保険の契約をする局面をイメージしてください。あなたにとって重要な金額を、スマホのアプリでチマチマ計算されて見せられたら、どう感じるでしょうか。
 少なくとも筆者なら購入(契約)する気が失せてしまいます。品位がないし、ビジネスにおいて極めて重要な局面にもかかわらず相手への敬意がない。

 もうひとつの理由は、筆者の研修現場でも、スマホのアプリでチマチマ計算している人ほど、すべてにおいて「遅い」ということ。計算も遅い。議論も遅い。アウトプットも出てこない。まあ確かに慣れていないから計算しにくいでしょうし、大きい桁の計算になると不便だったりします。

 仕事で成果を出せる、数字に強いビジネスパーソンになりたいのなら、「スマホ」で計算するのはやめて、「マイ電卓」を常に持ち歩き、数字を使う準備をしておきなさい。

 これが、今回のまとめになります。

 筆者が何度も世の中に伝えていることではありますが、ビジネスパーソンが数字に強くなれるか否かは文系・理系の問題ではありません。
 単なるその人の意識の問題なのです。

 筆者の仕事の本質は、その意識を変えることにあるのでしょう。