相続のハードルは
法律3割、感情7割

 税制や不動産の扱い、法律などが複雑に絡む不動産の相続問題は、他の相続案件よりも確かに難しい。だが、よりいっそう複雑にしているのは、実は人間の“感情”と船島弁護士は言う。

「私が相続の相談で労を費やすのは法律3割、感情7割です。相談者だけでなく関係者の感情にも気を配りながら問題解決に当たるので、カウンセリングに近い仕事になります」

 2人兄弟で4000万円の遺産を2000万円ずつ分割相続するといえば、大概の人はスムーズに進むと考えるだろう。ところが生前、親が弟に15万円の小遣いを渡したことを耳にした兄が、それまでスムーズに進んでいた分割協議をストップさせたことがあったという。信じられないような話だが、わずか15万円でも感情がこじれると相続が“争族”に変わることも少なくない。「自分の方がどれだけ親の面倒をみてきたか知れないのに、なぜ最後は弟なんだ……」となれば、もはやゼニカネの問題ではないのだ。

「相続問題で感情をこじらせ15ヵ所も弁護士事務所や税理士事務所を渡り歩き、最後に私の事務所に来られて、こんなに真剣に話を聞いてくれた先生はいなかったと、涙を流しながら次第に落ち着きを取り戻した相談者もいました」

“争族”問題では相続人の心情に配慮した「手紙」が解決の決め手になることも多いという

 船島弁護士が心療内科の法律顧問をしていることも、相談への対応に役立っている。

「相続には必ず“なぜ”が付きまといます。だから最初から無理ですとは決して言いません。相談者の話をとことん聞くことで、気持ちを整理して落ち着きや安心感を取り戻していただくだけで、相続問題の大部分は解決できると思います」

 税制、不動産、相続に精通し心理カウンセリングにも長けているからこそ依頼人の選択肢が広がり、争族を避けることができる。家族の絆がますます希薄になる時代に、こうした相続のエキスパートの存在は心強い。

弁護士法人 東京セントラル法律事務所のHPはこちら

この記事が収録されているダイヤモンドMOOK『頼れる弁護士の見つけ方』の詳しい内容はこちらからご覧いただけます。