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会員制リゾートを楽しむ

人間性の回復を図る
リゾートライフ文化浸透の兆し

著者・コラム紹介
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欧米に比べると、日本人はリゾートライフを楽しむ点で劣っているといわれる。その要因は、「観光」と「リゾート」を混同していることにある。リゾート開発に詳しい帝京大学経済学部の河野正光教授に、会員制リゾートの現状と今後の可能性を聞いた。

 地価が高騰し、NTT株の上場など世の中が財テクブームに沸く1987年、「総合保養地域整備法」いわゆる“リゾート法”が施行された。リゾート産業の興隆と地域振興を目的に、国内42の地域で大規模かつ豪華なリゾート開発が行われたが、そのほとんどは失敗に終わった。バブル崩壊や円高による海外旅行の増加などの背景もあるが、最大の要因は、「日本には、リゾートライフを楽しむ文化が醸成されていなかったことにある」と帝京大学の河野正光教授は分析する。

 「リゾート運営は設備投資産業で、利用者がいて初めて成り立つもの。リゾート法による開発は、完全なプロダクトアウトで、ひと言で言えばニーズがなかったのです。後に政府自らが“需要予測を見誤った”という結論を出しているほどです」

休息し人間性を回復する
ためのリゾート

帝京大学 経済学部
観光経営学科 教授
河野正光氏

プリンスホテル取締役営業部長、高輪・新高輪プリンスホテル取締役支配人、人事・宿泊・セールス・ブライダル部門の全社責任者等を歴任後、2006年宮城大学大学院、玉川大学大学院非常勤講師を経て10年より現職。多くの店舗やホテル、企業等でホスピタリティ教育を指導し、業績向上に寄与している。専門はホスピタリティマネジメント論、ホテルマネジメント論、リゾート運営論など。

 そもそも日本は“リゾート発展途上国”であると河野教授は言う。日本最初のリゾートホテルは、明治の初め、来日中の外国人のための宿泊施設だった。日光にある金谷ホテルである。避暑に訪れた彼らは、欧米の映画に描かれるように、リゾートファッションで着飾り、ゆったりと日数を取って滞在し、周辺の散策や読書、交流を楽しんだ。そこは休息し、人間性を回復する場所であったのだ。

 以来、国内に“リゾート”と名の付く所は増えたが、問題は日本人が“観光”と“リゾート”を混同していることだと河野教授は言う。「観光とは、物見遊山で“点”から“点”への移動、名所旧跡などを訪れて新しい発見をするもの。一方リゾートとは、“面”で滞在して休息するもの。その違いを十分理解していない人が多いのです」。

 ただ、観光とリゾートは重なる部分も多い。多くの観光地が風光明媚な場所にあり、そこを訪れることでリフレッシュできるならば、たとえ1泊であっても“保養”の目的は達したことになる。

 もう一つ、日本に根付かないものに別荘がある。本来は、別荘こそ滞在型のリゾートライフを送れるものだが、楽しむのは夫や子どもで、妻は掃除や料理を負担するなど日常生活と変わりがない。家族全員が楽しめる構造になっていないことが一般化しない一因だと考えられる。そこで注目されるのが、会員制リゾートなのだ。

 「会員制リゾートのメリットは、複数のリゾート地から自分の行きたい場所を選択できるということ。また、上質なホテルサービスを受けながら、利用者全員が等しく楽しめる点にあります。いわば“別荘+ホテルサービス”で、家族の誰もがゆったりと英気を養える場所なのです」

 こうした会員制リゾートの価値を知り、需要を支えると期待されているのは、かつてバブル時代にスキーやビーチリゾートを満喫した世代だ。彼らが子どもや孫を持つようになり、ようやくリゾートライフを楽しむ土壌が整ってきているという。

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