中国 2016年4月1日

中国人が中国人をバカにしはじめた!?
経済大国の成熟と国際化

お金儲けの神様「邱永漢」人生最後の弟子で、2005年より中国四川省成都に在住。日本生まれの韓国人で、現在はグループ会社3社の社長兼取締役を勤める金さん。ここ数年、金さんの周りの中国人たちが同じ中国人をバカにする傾向が見えるようになったという。今回は、中国の成熟と国際化について考えます。

 中国は5年ごとに違う国になるという話をどこかで書いたように記憶していますが、実際、毎年のように街の風景がドラスティックに変わり、人や文化も変化していきます。ここ2年くらいの中国を眺めていると、「あ~、中国人が変わってきたなぁ」との思いを強くすることが多々あります。今回はそんな話を書きたいと思います。

土豪をバカにする中国人

 2014年ぐらいだったと思いますが、中国語で「土豪(トゥーハオ)」という言葉が流行りました。これは何かというと、「土=芋くさい→ダサい」「豪=豪華→金持ち」で「ダサいお金持ち」という意味になります。

 イメージ的には、サンダルと短パン、よれよれのTシャツを着て、ベンツのSクラスか、BMWの7シリーズに乗り、クラクションをプップッーとしょっちゅう鳴らしながら、運転席の窓を下ろしてすかさずタンを道に吐く。これが完璧な“土豪(トゥーハオ)”スタイルです。

 書きながら、あまりに的確な描写で、自分でも思わず「本当、いるいる」と声が出そうになるくらい、中国の都市部にはこんな人が結構いるわけです。

 さて、鄧小平が「先に金持ちになれる人間から金持ちになれ」(実はこの文章の後に「そして貧しきものを助けよ」とあるのですが、前半だけが一人歩きしています)と唱えた1980年代後半から、「お金儲け」はなにものにも代えがたい魅力と価値があるものとして中国社会の深いところに存在してきました。

 だから、お金持ちになるために悪いことをしようと、ワイロで蓄財しようと、はたまた腎臓を売ってiPhoneを買おうと、なにをしてもよかったわけで、それが社会的価値の絶対的第一優先だったわけです。

 ところが、そんな中国人が金持ちをバカにしはじめたのはどういうことなのか?

 1つ目の理由は、社会に不公平感が蔓延し、貧乏人の不満が溜まりに溜まることで、金持ちをバカにしたくなったということでしょう。これはどの世の中にも存在する“妬み”という感情です。

 2つ目は、中国が豊かになってきたことで価値観が多様化し、「お金だけじゃないでしょ、人生で大切なことは。なのに、まだやってんの」という、冷めたというか小馬鹿にした感情でしょう。こうした感情(というか現象)が生まれてきたのは、中国社会が成熟しはじめたことに他ならないと私は見ています。

地下駐車場に並ぶ車は高級車ばかり=北京にて(Photo:©Alt Invest Com)

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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