日本テレビによる最新の世論調査によれば、麻生内閣の支持率が9.7%に落ち込み、主要な報道機関の調査では初めて10%を切った。2008年度第二次補正予算の関連法案はまだ全部成立していないし、2009年度の予算案の審議を進めている側から、やれ20兆円だ30兆円だと、与党の有力者が次の補正予算の話を勝手に出し始めている。そうかと思えば、郵政民営化を巡って、小泉元首相が麻生批判を公然と行うなど、自民党では、皆が思い思いに勝手なことを言い始めている印象だ。これは、明らかに末期的な症状だ。遠からぬ総選挙を意識して、浮き足立っているのだろう。

 ただ、末期的という言葉で片付けるのは簡単で、現実に日本で生活している身からすると、これからどうなるかが問題だ。

 経済状況は、誰が見ても悪い。月曜日に発表された2008年10-12月期のGDPは物価変動の影響を除いた実質で前期比3.3%減、年率換算で12.7%減となった。3四半期連続のマイナス成長で、減少率は第1次石油危機時だった1974年1―3月期の年率13.1%減に続く約35年ぶりの大きさだ。ここのところ悪い数値に慣れが出てきたが、この状況はひどい。

 アメリカも第4四半期は年率換算3.8%の実質マイナス成長になったが、先週末に曲がりなりにも7870億ドル(約72兆円)の景気対策を成立させた。むろん“グリーンニューディール”などといいながら、実態は道路や橋のほうが多い公共事業中心の財政支出で、かつての日本の景気対策を彷彿させる内容であったり、「バイ・アメリカン」条項などという田舎臭いとしか言いようがない内容を含んでいるとはいえ、与野党が景気対策をまとめあげたことは、評価していいだろう。

 一方、日本では、景気対策が、遅々として進まない。

 週末にイタリアのローマで開かれたG7では、世界同時不況の阻止へ各国一斉に財政支出を増やすことが一応の合意事項となったが、現在の日本政府の状況では、この合意を順守できそうにない。

 中川財務相のしどろもどろの会見が問題になるなど、今の麻生政権には明らかに“国際公約”を実行できるだけの求心力がない。現実問題としては、民主党を支持していない人も、遠からず民主党に日本の経済政策を任せることになる可能性を想定せざるを得ないだろう。