なぜ、高級クラブは「決断の学校」なのか?

 経済感覚が麻痺すると、どうなるか? 投資に対する決断が変わります。
「なるべく経費を抑えてお金を残そう」という考え方から、「お客様を増やすために未来に投資しよう」という考えにシフトできる。

 たとえば、よさそうな土地を見つけたときに、後藤さんなら「買っても使う気がないからやめておこう」と以前はそう考えていました。

 でもこれからは、「使えそうだから先に買っておこう」と積極的に考えるようになった。人は、何十年もかけてつくった自分の価値観をなかなか壊せない。壊せないから、売上も変わらない。

 そのことに気づいてもらうために、私は「かばん持ち」の社長をジャンケンで負かしています。「負ける」という経験をしないと、今のやり方を手放せないからです。

 株式会社大商金山牧場(食肉製造養豚業/山形県)の小野木重弥社長も、お金に対するリミッターが外れた社長です。

「私はもともと、ドケチでセコい(笑)。成果が出るとわかっていることでも、高ければ投資はしない性格でした。けれど、小山さんから、『社員教育も設備投資も、高速道路の通行料と同じ。常に安いほうを選ぶのは、経営者として間違っているよ』と教えていただいたんです。より早く成果に結びつけるためには、お金を払う必要がある、ということですね。その後は、劇的にお金の使い方が荒くなりました(笑)」(小野木社長)

「かばん持ち」の社長と店でジャンケンをするのは、私が「タダでお酒が飲みたい」からではありません。

 強制的に、社長の価値観を変えるためです。「遊びと仕事は同じである」ことを教えたいからです。高級クラブは、決断の大切さを学べる「決断の学校」なのです。

<著者プロフィール>
小山 昇
(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育てる。2001年から同社の経営のしくみを紹介する「経営サポート事業」を展開。現在、600社以上の会員企業を指導しているほか、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回以上の講演・セミナーを開催。1999年「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。
2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。
『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』(以上、ダイヤモンド社)、『99%の社長が知らない銀行とお金の話』『無担保で16億円借りる小山昇の“実践”銀行交渉術』(以上、あさ出版)、『【増補改訂版】仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】
http://www.m-keiei.jp/