イチローが「4割」に
こだわらない理由

 イチロー選手は、率を目指さずに「安打数」にこだわっています。
 イチロー選手なら、史上初の4割バッターになれるかもしれない。

 なのに、なぜ打率より安打数なのか?

 率を目指すと、バットを振らなくなるからです。
 分母を減らすのではなく分子を増やしていけば、無理をしなくても率は上がります。そして、そのことがわかってくると、失敗が怖くなくなります。

 なぜなら、成功の「数」を増やすには、新しいチャレンジをしなければならないからです。新しいチャレンジには、失敗のリスクがともないます。でも、失敗の分母を増やさない限り、成功の分子も増えません。

 広島ガス高田販売株式会社(LPガス販売/広島県)の住吉峰男社長も、「経営は率だ」と頑なに考えていました。そこで私は、ある作戦を思いつきました。

 それは、「住吉社長とジャンケンをするときは、あえて9割負ける」という作戦です。
住吉社長の勝率は9割でしたが、支払った額の9割も住吉社長
でした。
勝率がよくても支払った額が大きいのですから、住吉社長は「率より額」を実感したはずです。

 2014年度「日本経営品質賞」において、広島ガス高田販売が「経営革新推進賞」を受賞することができたのは、住吉社長が「率よりも額の経営」にシフトし、現実に即した改革を進めたからです。

<著者プロフィール>
小山 昇
(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育てる。2001年から同社の経営のしくみを紹介する「経営サポート事業」を展開。現在、600社以上の会員企業を指導しているほか、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回以上の講演・セミナーを開催。1999年「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。
2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。
『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』(以上、ダイヤモンド社)、『99%の社長が知らない銀行とお金の話』『無担保で16億円借りる小山昇の“実践”銀行交渉術』(以上、あさ出版)、『【増補改訂版】仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】
http://www.m-keiei.jp/