即断即決のための「5つ」のコツ

 私がどうして悩まないのか。即断即決のコツを「5つ」紹介します。

 1.損することを怖れない

 物事を決められない社長は、「損をしたくない」と考えています。でも私は、「新しい決定をすれば失うものもあるが、得られるもののほうが多い」と考えています。

 2.正しさを求めない

 私は、正しさよりも「速さ」を大切にしています。テキトーでもいいからスタートして、途中で間違いに気がついたら、そのときに修正すればいいだけのことです。実行するのが速いほど、間違いに気づくのも速くなり、修正も速くできます。

 3.先に結論を決めておく

「いつ、○○をやる」「こういう結果にする」と結論を先に決めておいて、「具体的にどうやるのか」はあとから考えています。

 4.自分に都合の悪いほうを選ぶ

 自分に都合の悪いことを見ようとしなかったり、自分に都合よく解釈すると、その場しのぎの判断はできても、根本的な問題解決にはなりません。

 5.体験から判断する

 株式会社シマ商会(自動車リサイクル業/福島県)の島一樹社長は、「小山さんは、グーグル検索のように、すぐに答えを出す」と言いましたが、私の検索スピードが速いのは、ほかの社長よりも、「失敗の体験量」が多いことが理由です。

 私は「iPhone」が発売されると、まっ先に買った。もちろん、使い方は全然わからないから、最初はメールひとつ送れません。それでもひとつ失敗すれば、ひとつ使い方を覚えることができる。どんなことでも気軽にチャレンジして、どんどん失敗すればいい。

 株式会社全進堂(写真台紙・アルバムの制作/愛知県)の桑原登志郎社長も、「かばん持ち」をしたことで、決断するまでのプロセスが変わったと話しています。

「小山さんが常人と違うのは、決断スピードです。『考えても考えなくても、答えは一緒。間違えたとしても、直せばいい』と割り切っているので、ためらいがない」(桑原社長)

 悩んでも悩まなくても、結果は変わらないことが多い。
 決定の正しさは、悩んだ時間とは無関係です。
 長時間悩んでも正解率は上がりません。社長の決定は、スピードが命です。

<著者プロフィール>
小山 昇
(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育てる。2001年から同社の経営のしくみを紹介する「経営サポート事業」を展開。現在、600社以上の会員企業を指導しているほか、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回以上の講演・セミナーを開催。1999年「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。
2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。
『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』(以上、ダイヤモンド社)、『99%の社長が知らない銀行とお金の話』『無担保で16億円借りる小山昇の“実践”銀行交渉術』(以上、あさ出版)、『【増補改訂版】仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】
http://www.m-keiei.jp/