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課長は労働法をこう使え!
【第9回】 2016年4月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
神内伸浩 [弁護士]

コミュニケーション力の低い課長はパワハラと相性が良い―――「課長が負けた裁判」に学ぶマネジメント術(2)

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パワハラ、セクハラ、ソーハラ、マタハラ……。昨今は、これまであまり問題視されてこなかったコミュニケーションにも「ハラスメント」のレッテルが貼られるようになりました。課長は、どうすれば労働問題に巻き込まれずに日々のマネジメントに注力できるのか? 国内企業と外資系企業の人事部でサラリーマン経験がある労働問題解決の第一人者が、事例とともに実践的な「法律の使い方」をお伝えします。

A保険会社上司(損害賠償)事件(東京高裁 平成17年4月20日判決)

Xは勤続30年のベテラン社員。
過去2年の人事考課は7段階で下から2番目。
営業成績は低迷していました。
そこで、Xの上司であるYは、Xに対して次のようなメールを送信します。

「やる気がないなら会社を辞めるべきだと思います。当サービスセンターにとっても、会社にとっても損失そのものです。あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。あなたの仕事なら業務職でも数倍の実績を上げますよ。これ以上、当サービスセンターに迷惑を掛けないでください」

このメールはXだけでなく、Xの同僚数十人にもCcとして送信されました。
Xは、名誉棄損とパワハラに当たるとしてYを提訴。
以下のような趣旨の判断が下されました。

「このメールはXの地位に見合った営業ノルマを達成するよう叱咤激励するものであり、メールを送った目的は正当。しかし、『やる気がないなら会社を辞めるべき』『会社にとって損失そのもの』などの表現はXの名誉感情をいたずらに毀損するものである」

裁判所はパワハラではないとしながらも、不法行為には該当するとして、Yに慰謝料5万円の支払いを命じました――。

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神内伸浩 [弁護士]

(かみうち・のぶひろ)労働問題専門の弁護士(使用者側)。1994年慶応大学文学部史学科卒。コナミ株式会社およびサン・マイクロシステムズ株式会社において、いずれも人事部に在籍。社会保険労務士試験、衛生管理者試験、ビジネスキャリア制度(人事・労務)試験に相次いで一発合格。2004年司法試験合格。労働問題を得意とする高井・岡芹法律事務所で経験を積んだ後、11年に独立、14年に神内法律事務所開設。民間企業人事部で約8年間勤務という希有な経歴を活かし、法律と現場経験を熟知したアドバイスに定評がある。従業員300人超の民間企業の社内弁護士(非常勤)としての顔も持っており、現場の「課長」の実態、最新の労働問題にも詳しい。
『労政時報』や『労務事情』など人事労務の専門誌に数多くの寄稿があり、労働関係セミナーも多数手掛ける。共著に『管理職トラブル対策の実務と法 労働専門弁護士が教示する実践ノウハウ』(民事法研究会)、『65歳雇用時代の中・高年齢層処遇の実務』『新版 新・労働法実務相談(第2版)』(ともに労務行政研究所)がある。単著は本書が初となる。


課長は労働法をこう使え!

パワハラ、セクハラ、ソーハラ、マタハラ……。昨今は、これまであまり問題視されてこなかったコミュニケーションにも「ハラスメント」のレッテルが貼られるようになりました。課長にとって、おそらく過去最大レベルに労働法の知識が求められる時代だと言えるでしょう。そこで本連載では、国内企業と外資系企業の人事部でサラリーマン経験がある労働問題解決の第一人者が、事例とともに実践的な「法律の使い方」をお伝えします。

「課長は労働法をこう使え!」

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