ようやくリーマンショックの傷が癒えつつある国内の自動車販売。輸入車と軽自動車を含む6月の自動車販売は前年比18%増加している。しかし、それを遥かに上回るペースで売れまくっているクルマがある。大型トラックだ。6月の販売実績はじつに前年比134.5%増である。

 売れ行き倍増の背景には、「前年が悪過ぎた」(トラックメーカー)こともあるが、「なんといっても駆け込み需要が大きい」。

 大型トラックも乗用車と同様、燃費と現行の排ガス規制をクリアすれば補助金を活用できるが、その額は最大180万円と大きい。大型トラックの価格はおおむね1000万円台。購入価格の1割以上がお得となるため、利用者が殺到中だ。8月までには政府が用意した補助金の枠を使い切り終了する勢いである。

 そして、補助金が終了するや世界最高レベルといわれる排ガス規制「ポスト新長期規制」が始まる。9月からは対応車でなければ登録できない。開発費が価格に転嫁され、大型トラックで「100万円以上の価格上昇になる」(トラックメーカー関係者)という。

 つまり、補助金終了と新規制対応のダブルパンチで、9月からは1台当たり300万円近くの負担増になる。足元の販売急増は、それを見越した駆け込み需要が主因とあって、トラックメーカー関係者も「反動減で下期の売り上げはかなり減るのでは」と浮かない顔だ。

 1990年に19万台だった中型以上のトラックの販売は2009年には4万台を切った。その間、いすゞ自動車、日野自動車、UDトラックス(旧日産ディーゼル)、三菱ふそうのトラック4社のうち、UDがボルボ(スウェーデン)の、三菱が独ダイムラーの傘下に入っている。

 下期以降の“反動減”は、さらなる開発や販売の提携、統合を加速させることになりそうである。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 清水量介)

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