統計学をどうやって広めていきますか?

川村 西内さんにはモー娘。、AKB、ももクロの次はこんなアイドルが来るというのをデータで出してもらって“統計学アイドル〞をぜひプロデュースしてほしいです。
西内 誰もがデータを当たり前に活用して、不確実な時代に対する答えとして、最適な選択ができることを知ってもらうためにも、音楽のようなクリエイティブな表現の力を借りる必要は感じています。アメリカで行われた10代の喫煙防止キャンペーンの話なんですが、喫煙する若者は反抗心が強いというデータがあって、となると正攻法で「吸っちゃだめ」と言ったところで抵抗されて終わりですよね。

川村 だめと言われれば言われるほど、吸う人たちだと。
西内 そうなんです。ただ、そのキャンペーンのチームには研究者以外にマーケッターがいて、上がそのマーケッターに出したお題は「反抗すればするほど、たばこが吸いたくなくなる仕組みを考えてください」というものだった。結果「たばこ会社の偉い人」という架空のキャラクターを作って、その人が10代の喫煙者を騙しているというシナリオをビジュアルや動画で展開したら、若者はまんまと「たばこなんて吸ってられるか」と反抗して、喫煙率が下がったんです。

川村 たばこの箱にガンのリスクを表記することが、いつまでも効果があるとは思えませんもんね。統計学とクリエイティブがうまくかけ合わされば、伝わることも増えそうです。
西内 最近は、統計を請け負う会社とは別に、分析ツールを作る会社を作りました。分析をできない人が溜まったデータを持っていて、「売り上げが多いお客さんと、そうじゃないお客さんの違いが知りたい」と思えば、その答えを教えてくれるツールがあるといいなと。3クリックくらいで、答えに辿り着けるツールを目指していて、分析結果も、グラフとか数値とかでなく、自然言語にしたいなと思ってます。

川村 確かにデータをデータのまま見ても、文系人間としては、どうしたらいいかわからないですからね。
西内 それこそゲームに戻りますけど、『ドラクエ』の下のウィンドウに出る「52のダメージ」っていうのも、グラフじゃなくて言葉だから、みんなちゃんと受け入れてくれますからね(笑)。


(2015年12月 東京・神保町の集英社にて)