貧困層の女性が売春をしても
生活費すら稼げない

北条 女性がカラダを使って稼げるお金も減っているってことですよね。いまはお小遣い程度にしかならない。私も大学院時代にキャバの面接に行ったとき時給2800円だったけど、3歳上の方は2400円でした。露骨ですよね。そういう若さのメリットに甘んじているうちに、歳をとって困窮するケースが出てきます。

中村 でも困窮して売春しますっていう人は、たいして売れません。競争になると、そういう女性は弾かれちゃう。逆に、裕福な家庭の主婦で、刺激が欲しいからって人は、同じおばさんでも意外と稼げたりするんです。

北条 稼げるのは落ちてきた人じゃなくて、風俗経験のない素人妻っていうのは聞いたことがあります。

中村 貧困層の女性が売春しても生活費すら稼げないっていう状況は、本当にまずいと思います。この数年間は女子大生から熟女まで、売春したい女性が多すぎてデフレが起こっている状態。売春をしても生活保護水準を割る人がいるっていうのは、ちょっと深刻ですよ。

北条 売春しても月に10万レベルだと完全に貧困ラインです。それこそスーパーのレジ打っているほうがマシという。

中村 ちょっと前まで、売春なんてやめなよって誰もが思う仕事だったけど、今はブラック企業とか介護職とか、労働環境や収入面で、ある意味売春よりキツい仕事があまりにも増えすぎたでしょう。そこに貧困女子大生が参入してきて、本来は売春するべきでない女性までが流れ込んでくると、本当に売春でしか生きられない女性が弾かれてしまう。これでは売春の持っていた「女性にとって最後のセーフティネット」という役割を果たせません。

北条 AV女優とか風俗嬢の人たちが、ここ数年キラキラしはじめたなっていうのは実感があるんですが、どう思います?

中村 それは一部のトップの人たちに限った話ですね。でも社会的発言権がある人とかマスコミでも、トップAV女優と困窮する売春女性の違いがわからない人がいっぱいいます。ただ性を商品にしている人として、一括りに見てるんですね。話題のNPO法人ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子弁護士もそうですが、女性が自ら進んでカラダを商品化するはずがないと思い込んでいます。現実がまったく見えていません。

北条 伊藤弁護士らは「AV女優は出演を強要されている」「人権侵害には刑事罰を」と訴えていますが、仮にこのまま、AV業界への非難が高まり、第三者の介入が進めば現場の女優たちが職を奪われる可能性もありますよね。

中村 そのとおりです。売春しても食べていけない、生きていけないって人が本当の貧困のはずなのに、AVや風俗をやっている人はみんな騙されている弱者っていう考えはおかしいですよね。救うべき、なにか対策を考えるべきは困窮する売春女性の方が先で、騙されてAVに出演させられている女性もいるかもしれませんが、基本的は個別の事例の問題であって、業界全体の話ではありません。それを社会問題化するべきではないと思います。

北条 風俗をやめさせるのがまず第一歩だと言っている方も中にはいますよね。でも風俗をやめたとして、他に選択肢のない人はどうやって生活すればいいんでしょう。その対案を示さないのは、ちょっとアンバランスですね。