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佐高 信の「一人一話」

『週刊こどもニュース』で読者を発見した池上彰

佐高 信 [評論家]
【第43回】 2016年4月11日
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 『週刊金曜日』編『安倍政治と言論統制』(金曜日)所収の池上彰と私の対論は、「佐高さんの本を読んでいると、よく私への批判が書いてありますね」という池上の発言から始まる。

 それまで面識はあったが、じっくり話したことのない私との対談を、正直言って、池上が引き受けてくれるとは思わなかった。しかし、反論したいところもあったのか、OKとなって、それはある日の午後11時から始まった。さすがに売れっ子で、予定はビッシリなのである。

「私は弱いんでしょうね」
率直さが池上人気の秘密

 たとえば私は池上を次のように批判した。

 <2013年3月21日号の『週刊文春』に掲載されたジャーナリスト・池上彰の東京電力社長・廣瀬直己に対する「誌上喚問」を読んで、池上が“マスコミの寵児”となっている理由がわかった。

 要するに、池上は徹底追及をしないのである。この寸止め感が一般の人に安心感を与えるのだろう。もちろん、東電社長も首までは取られないと思って、ここに出てきた。

 「このインタビューは東電の宣伝広告にはなりませんよ(笑)」と池上は言っているが、結果的に『東電も精一杯がんばっていますよ」という“宣伝広告”になってしまった>

 以下は拙著『タレント文化人200人斬り』(河出文庫)に譲るが、前記の対論で私は池上に、東電の社長に、なぜ原発について尋ねなかったのか、と問うた。

 「答えは決まっているので」と池上は答えたが、やはり聞かなければならなかったのでは、と重ねて質すと、池上は、「廣瀬社長は火中の栗を拾うような形で社長になったわけです。そんな中でインタビューするとなると、つい『大変だな、この人』なんて思っちゃうんですよ。きっと私は弱いんでしょうね」と言ったので、私は、「そうすると、何かこっちが図々しいみたいになる(笑)」と返した。

 その後も東電のお役所体質などについて触れたら、池上は、「いま、『ジャーナリストとして未熟だ』と叱られているんですね」と反省めいたことを口にしていたが、この率直さが池上人気の秘密でもあるのだろう。

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佐高 信 [評論家]

さたか・まこと 1945年山形県酒田市生まれ。評論家、『週刊金曜日』編集委員。高校教師、経済雑誌の編集者を経て評論家に。「社畜」という言葉で日本の企業社会の病理を露わにし、会社・経営者批評で一つの分野を築く。経済評論にとどまらず、憲法、教育など現代日本のについて辛口の評論活動を続ける。著書に『保守の知恵』(岸井成格さんとの共著、毎日新聞社)、『飲水思源 メディアの仕掛人、徳間康快』(金曜日)など。


佐高 信の「一人一話」

歴史は人によってつくられる。ときに説明しがたい人間模様、ふとした人の心の機微が歴史を変える。経済、政治、法律、教育、文化と幅広い分野にわたって、評論活動を続けてきた佐高 信氏が、その交遊録から、歴史を彩った人々の知られざる一面に光をあてる。

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