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外村仁氏は、なぜ愛車のテスラを
新しいモデルに買い換えたのか

何もかもが常識はずれの納車式に密着

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第112回】 2016年4月11日
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 ちなみに、車の寸法も明らかにされていなかったという。そうした情報もなしに購入を決めるとは、ファンのテスラへの信頼は、これほどに高いかと知らされる。したがって、青の色もスクリーンで見ただけである。

 担当者が指差した注文車は、ブルー・グレーの渋い色調で照明に照らされて輝いていた。車の後ろにはパーティーで使われるようなハイテーブルがあり、そこに外村氏の客番号の札と共に花が飾られている。

どうしても欲しかった
オートパイロット機能

モデルXの最大の特徴であるファルコンウィングは、ハンドルを軽く推しただけで羽ばたくように開く

 担当者による説明は、車体前方のトランクから始まったが、あっと言う間に目玉のファルコンウィングへと進んだ。ハンドルに軽くタッチするだけで、鳥が飛び立つようにドアが翼を広げる。イメージとは逆に、実際にはほとんど横幅を取らずに後部ドアが開けられるしくみだ。

 次に後部へ回り、ハッチを開けて、3列に7シート並んだ車内を見渡す。「モデルX」は写真で見るとコンパクトに見えるが、実際には「モデルS」より一回り以上大きく、後部には前方とは別のトランクスペースも確保されている。見た目はセダン風だが、「SUV」とテスラ社員が口にする理由が、そのボリュームを見て納得できるといったところだ。

センターコンソールのディスプレイで機能を設定する。まるでスマホのよう

 一通り外を回ると、今度はドライバー席に乗り込み、テスラ特有の大スクリーンを見ながら説明が続く。とりわけ外村氏が熱心に聞いていたのが、「オートパイロット機能」の部分だ。

 何を隠そう、外村氏が逡巡の挙げ句に「モデルX」購入を決心したのは、このオートパイロット機能のためだ。オートパイロットは、高速上でほぼ自動走行状態にできる機能で、テスラは2014年秋以降からそれに合わせたハードウェアを「モデルS」に搭載し始めた。

 実際にオートパイロットのソフトウェア・アップデートが行われたのは2015年10月だが、カメラやセンサーなどのハードウェアなしではオートパイロット機能は使えない。2013年に「モデルS」を手に入れていた外村氏の愛車にも、ハードウェアがついていないのだった。

 このオートパロット機能の発表に際しては、「モデルS」所有者からの苦情がテスラに殺到した。ことにイーロン・マスクの発表の直前に「モデルS」を受け取った人々の怒りは想像に難くない。数日違いで同じモデルを買ったのに、機能上は明らかに劣る。「一夜にして自分のモデルSの価値が激減した」と悔しさをぶちまける人々がいた。テスラのフォーラムを見ると、自ら改造してハードウェアを搭載してレトロフィットを行った強者もいるようだが、テスラは会社としてはレトロフィットを行わない。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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