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外村仁氏は、なぜ愛車のテスラを
新しいモデルに買い換えたのか

何もかもが常識はずれの納車式に密着

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第112回】 2016年4月11日
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2台のテスラのカー・キー。車の形をしている

 外村氏も同様だった。あの当時テスラは株価が低迷し、倒産するのではないかとも言われていた。新しいことに挑むイーロン・マスクを応援する気持ちもあって、リスクをとってテスラ車を買った初期ユーザーへの仕打ちとしてはあまりにひどい。

 外村氏は考えあぐねた末に、「オートパイロットなしではテスラに乗っている意味がないんじゃないか。これでは未来のトランスポテーションが味わえない」と買い替えを決心し、5000ドルの予約金を払ったのが2015年春だった。その際、同じ買い替えるなら、新しい「モデルS」ではなく「モデルX」かと悩む外村氏の背中を推したのは、肝の座った夫人だった。かくして、高い「モデルS」からさらに高い「モデルX」へのアップグレードとなった次第だ。モデルXの基本価格は8万ドルである。

テスラに乗る理由は
自分に対する“鞭”

 ところで、そもそも外村氏がテスラに乗る理由は何なのか。確かに「見せびらかし屋」であることも自認する。だが、もう少し大切な理由は、それが「自分に対する鞭」でもあるからだ。

 「シリコンバレーの話を講演や学生相手に話す時、自分の現実の体験を元に話したいという気持ちが強い。ここで住んでいる、ここで仕事をしている、こういう人たちと話している。そういうすべてにおいて初心に返って、自分を追い込んでいる。自分を鞭打っているんです」。そしてその鞭のひとつがシリコンバレーでテスラに乗り、テスラを所有する体験であるということなのだ。

 「日本から来る大臣や政治家も、テスラに乗って加速するとびっくりする。使い倒して下さいと、運転してもらうこともあります。百聞は一見にしかずでしょう。正しい意識を持って欲しいから、せっかく来た人には実体験してもらいたい。ただ、なんでそれを僕が自腹を切ってやっているのかは、自分でも不明なんですけれどね(笑)」

 オートパイロットと共にソフトウェア・アップデート時に可能になった機能には、自動縦列駐車や呼び出し機能もある。呼び出し機能は、ガレージの外まで車が出て来てくれる機能。家に戻った時にも、ドライバーはガレージの外で車を降りればいい。あとは、ガレージのドアを開け、中に入るといったことを車が自動的にやる。

最後にペーパーワークを済ませている外村氏。支払いもこの場で行われる

 「もう車はロボットになった」とひしひし感じさせられる機能なのだが、テスラのサイトには、こう書かれている。「とりあえずはご自宅でこの機能に慣れて下さい。そのうち、お客様がアメリカのどこにいらっしゃっても車がお迎えに上がります」。外村氏が感じたように、オートパイロットをはじめとしたこれら一連の機能は、未来のトランスポテーションを一足先に体験させてくれるものなのだ。シリコンバレーでテスラがたくさん走っている理由もそこにある。

 さらに「モデルX」には、ドライバーが近づいてくるとドライバー側のドアが自動的に開く「self-presenting door」という機能、「生物兵器の攻撃も防衛できる」というHEPAフィルターなどがついている。生物兵器とはずいぶん大げさなことだが、本当にそう書かれているのだ。「そんな攻撃があれば、車に入る前に呼吸困難で死ぬだろう」と外村氏は見るが、前者の自動ドア機能に惹かれて仕方がない。その他の機能も含めて、これらがオプションパッケージになっているので、これも追加することに。これで4500ドル也。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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