ミドリムシと人間の女性、どちらが扱いやすいですか?

出雲 あと、ミドリムシは宇宙農業にも適しています。1リットルの牛乳を宇宙に運ぶには100万円かかるんです。大量の食品を持っていくことができない。でも、プールさえあれば育てられて、多くの栄養が補えるミドリムシは宇宙食に応用できる。

川村 宇宙で人間が長期的に生活するためにはミドリムシは最適ですね。
出雲 JAXAには火星の農業について研究するチームがあります。ミドリムシは植物でもあって光合成をするので、火星の高濃度の二酸化炭素を吸収して酸素として吐き出してくれる。だから「ミドリムシが地球と同じくらいの酸素に増やしてくれたら引っ越しましょう」という形です。手始めに、国際宇宙ステーションのJAXAのスペースでも、ミドリムシの培養研究を始める予定です。

川村 すごく希望のある話ですね。ところで出雲さんはミドリムシ以外に興味があることはありますか? 僕のイメージだと理系の人は研究に注ぎ込むエネルギーが相当強いので、仕事が恋愛みたいなものなのかなと。
出雲 サイエンスは再現性がないと成り立ちませんが、そういう意味で恋愛は、まったくもって非線形で困る。1回デートすることで好きな気持ちが50から55になったとか、スコアにならない。突然好きになったとか、逆にもう嫌いになったとか。

川村 それはそうですけど、そもそも恋愛を数値で考えないですよ(笑)。
出雲 でも、ディズニーランドに行きたい人もいれば葛西臨海公園に行きたい人もいて、そこの傾きが違うというのは微分係数が違うということですよね。ミッキーが好きな人か水族館が好きな人かを積分してプランを作らないと、いいデートにならない。

川村 僕ら文系は過去の記憶や失敗から学んで、必死にプランを練りますね。
出雲 対象者が違ってもですか?

川村 だって僕らは日本史も世界史も丸暗記してきた人種なんで。
出雲 なるほど。ただ、いずれにしても僕の場合は、ミドリムシのような相性のいい人と出会えてよかったですよ(笑)。

川村 普通の女性が出雲さんの中でミドリムシを超えるのは大変ですね(笑)。


(2016年1月 東京・田町のユーグレナにて)