新入社員が「ドローン型」などと一括りにされる理由新入社員を世代で一括りにして、カテゴライズすることへの批判もある

 新年度となり、初々しい新入社員を街で見かけることが多くなった。未来への大きな希望を抱え、日々を過ごしていることだろう。

 一方、新入社員には、これから厳しい社会人生活が待ち構えていることになる。「皆さんの会社は採用ミス」と説教するといった、新入社員に対する過酷な研修の模様がテレビで放映され物議を醸しているが、筆者も新卒で入社した会社で泊まり込みの研修を受けたことがあった。

 内容は、マナー研修から謎のグループディスカッションまでとさまざまだったが、なによりも辛かったのが、大好きな酒とタバコが禁止だったこと。1週間ほど続いた研修の最終日に適性検査を受けさせられ、朦朧とした頭で答えたところ、なにやら結果が芳しくなかったらしく、後日、人事部に呼び出されてしまった。禁煙による離脱症状でそのような結果(内容は教えてもらえなかったが)が出たのだと信じたい。

 ところで、この時期に増えるのが、新入社員の特徴を分析した言説である。公益財団法人日本生産性本部が発表している「新入社員のタイプ」が、その代表例だ。ちなみに、今年度のタイプは「ドローン型」。過去の発表を見ると、「自動ブレーキ型」「奇跡の一本松型」「はやぶさ型」「カーリング型」などが並び、その年のタイムリーな話題に無理やり特徴を当てはめただけなのではないかと思わないでもない。

 新入社員を世代で一括りにして、カテゴライズすることへの批判もある。しかし、新入社員はいつの時代も「めんどい人々」だ。コミュニケーションが取れない「めんどい人々」を、なんとか一人前の社会人にしなければいけない。そう考えれば、「新入社員とは、こういう生き物だ」とひとまず断定し、扱っていきたい気持ちは理解できる。

43年前に登場した「パンダ型」タイプ

 日本生産性本部によると、「ドローン型」とは、

「強い風(就職活動日程や経済状況などのめまぐるしい変化)にあおられたが、なんとか自律飛行を保ち、目標地点に着地(希望の内定を確保)できた者が多かった。さらなる技術革新(スキルアップ)によって、様々な場面での貢献が期待できる。内外ともに社会の転換期にあるため、世界を広く俯瞰できるようになってほしい」

 ということらしい。

 つまり、自律飛行などの高い性能や、今後の可能性に期待をかけているということだ。一方で、「ルールを守った運用や使用者(上司)の技量」も重要になってくるという。わかったような、わからないような説明だが、新入社員が同じ部署に配属された際には、ぜひドローンを購入して操作方法を学んでほしい。

 調査が始まった1973年度のタイプは面白い。当時の新入社員は「パンダ型」で、「おとなしく可愛いが、人になつかず世話が大変」だったそうだ。パンダちゃんたちは、すでに60代半ば差し掛かろうとしているが、まだまだお世話が大変なのだろうか。