なんで、こうも差がつくのか?

 では、次に両社の業績を見てみよう。

 好例として掲げたソニー損保の成果はどれほどのものか?

 ダイレクト損保業界で13年連続売上No.1の実績を誇っている(2015年12月時点)。
 売上も14年間で10倍強アップしている。

名門2社のコピー、<br />どうして明暗を分けたのか?神田昌典(Masanori Kanda)
経営コンサルタント・作家。株式会社ALMACREATIONS代表取締役。日本最大級の読書会「リード・フォー・アクション」主宰。上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。コンサルティング業界を革新した顧客獲得実践会を創設(現在「次世代ビジネス実践会」)。のべ2万人の経営者・起業家を指導する最大規模の経営者組織に発展。わかりやすい切り口、語りかける文体で、従来のビジネス書の読者層を拡大。「ビフォー神田昌典」「アフター神田昌典」と言われることも。『GQ JAPAN』(2007年11月号)では、「日本のトップマーケター」に選出。2012年、アマゾン年間ビジネス書売上ランキング第1位。著書に、『あなたの会社が90日で儲かる!』『非常識な成功法則【新装版】』『口コミ伝染病』『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』『全脳思考』『ストーリー思考』『成功者の告白』『2022――これから10年、活躍できる人の条件』『不変のマーケティング』『禁断のセールスコピーライティング』、監訳書に、『ザ・コピーライティング』『伝説のコピーライティング実践バイブル』『ザ・マーケティング【基本篇】』『ザ・マーケティング【実践篇】』などベスト&ロングセラー多数。

 対して、アメリカンホーム・ダイレクトの業績は、毎年の売上高減少に歯止めがかからず、業界順位もかつての首位から下位に下降している。

 そして、ついに2016年4月以降の新規契約はすべて受付終了してしまった。業績不振の影響は否めないだろう。

 自動車保険は各社各様のサービスを展開しているように見えるが、そもそも自動車保険は、差別化しにくい。ハッキリ言って、どの会社のサービス内容もほとんど同じだ。

では、なぜ差がつくのか?
  
 商品の差別化が困難な業界の中で、
 13年連続トップの地位を死守する要因は何か?
 年々、売上順位を下げた敗因は何か?
 両者の明暗を分けるものは何か?

 ダイレクト損保なので、強い営業力を持つ代理店は武器として使えない。残る要因はコミュニケーション
 もっと言えば、コピーライティングだ。
 要は伝え上手か否かが、成功への分かれ目になる。
 伝え上手の勝者には、見えない戦略が隠れている。
 残念だが、敗者にはそれがない。

 名伯楽の野村克也氏は、こんなことを言っている。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

 負ける(売上が上がらない)ときには、必ず敗因がある。
 この教訓は、コピーライティングの世界にそのまま当てはまる。

 ペンを持つ前に言うことを絞り込む。まずは「ターゲット×提供価値」という戦略を徹底的に練ることから始めていこう。