「三方善し」を実践する東洋証券

 田原氏の講演「時代を読む」は、4月23日に横浜市にある県民共済みらいホールで開催された「東洋証券 創業100周年記念セミナー」で行われたものだ。

 ここではその一部をご紹介したが、ウン・ドン・コンを実践する経営者として稲盛和夫氏を取り上げ、いかにして今日の京セラを築いたか、また、日本企業再生のヒントとしてブラック企業と呼ばれないためにどうしたらいいか、AI(人工知能)の出現にどう向き合うべきかなど、講演内容は多岐にわたった。

創業当時の広島県の街並み所蔵・提供:「広島市公文書館」

 このセミナーを主催している東洋証券は1916年(大正5年)に広島県呉市で株の仲買店、斉藤商店(廣島証券の前身)として創業。今年、創業100周年を迎える。

「信頼」、「付加価値」、「得意分野」を経営理念として掲げ、実践する同社は、「地域に根ざした人と人とのつながり」を大切にし、地域に密着した「顔の見える証券会社」として、顧客との対話を重視し、着実に信頼関係を築いてきた。

 それは、単に顧客の注文に対し商品を提供するのではなく、顧客の声に耳を傾け、その顧客が本当に必要としている商品を提案する充実したコンサルティングにも表れている。顧客の49%が他の顧客からの紹介によるのも、信頼関係が築かれている証拠。その意味で、まさに「三方善し」を実践している会社なのだ。

いち早く中国株取引を開始した先見性とチャレンジ精神

 「東洋証券といえば中国株」と言われる通り、東洋証券は中国株にも力を入れてきた。93年に日本人投資家に向け、いち早く中国株取引を開始している。

 93年は青島ビールが中国企業として初めて香港H株市場に上場した年。日本株市場が厳しさを増す中、中国株市場の成長性に着目したのだ。

 株取引には情報も必須。東京、香港、上海の3拠点にアナリストを配置した。特に現地情報に強い中国人アナリストを起用することで、マーケット全体の分析だけでなく、日本国内にいてはなかなか取得しにくい個別銘柄の情報提供も行ってきた。

 2000年代に入り、折りからの新興国投資ブームで、中国株に多くの投資家の注目が集まったことは記憶に新しい。その際にも、他を圧倒する情報レベルの高さと知識量で投資家の信頼を得たことは言うまでもない。

 取扱い開始から24年、東洋証券の外国株の預かり資産(株数)は、国内証券業界の中で第3位に位置する(2014年3月末現在)。顧客を大切にする東洋証券の先見性とチャレンジ精神の表れと言えるだろう。次なる100年に向けた原動力がそこにある。

 その東洋証券が、100年分の感謝をこめて、全国各地で開催している無料セミナーが人気を集めている。>>>詳細は次のページで