熊本地震で、善意が「第二の災害」を引き起こさないために熊本地震で被災した方たちに、一般の人間ができることは何か――。写真は16日夜の熊本市役所の模様 Photo by Takeshi Yamamoto

 熊本県と大分県を襲い、大きな被害を出している今回の地震。いまも活動が止まらず、14(木)夜から18(月)午前4時までの間に、前震、本震を含めて500回を越える地震が発生している。その活動範囲もさらに拡大しているとの発表もあり、この原稿を書いている18(月)午前6時の時点でも、まだまだ予断を許さない状態だ。道路も各地で分断されているし、九州新幹線も復旧のメドが立っていない。ボランティアも受け入れていない。

 このような状況のときに、一般の人間ができることは限られている。義援金の募金と救援物資の提供だ。しかし、物資を送るには注意が必要。善意で送ったモノが被災地の混乱を招くこと、被災者にとって迷惑なことも多いからだ。これを「第二の災害」という。そこで今回は、東日本大震災のときの僕の経験も踏まえ、第二の災害を防ぐための注意点をいくつかお伝えしたいと思う。

いまだから言える
要らなかった支援物資

 まず基本的なことだが、第二の災害を生むのは「間違った善意」であるということだ。この場合の「間違った」とは、現地ニーズを把握していない、あるいは勘違いしているという意味だが、「いまだから言える『要らなかった支援物資』 - 東日本大震災【第二の災害】」というまとめサイトでは、「不要なもの一覧」として以下のものが挙げられている。ネットには他にも東日本大震災のときに送られて不要だったもの、というか(ハッキリ言って)迷惑だったものがリストアップされているが、どこの情報も概ね同じである。

以下、引用(「いまだから言える『要らなかった支援物資』 - 東日本大震災【第二の災害】」より)


◎不要なもの一覧
1、千羽鶴・応援メッセージや寄せ書き
2、成分表が読めない海外食品(アレルギー成分がわからないため)
3、冷凍食品(冷蔵庫が使えないため)
4、保存食以外の食料(缶詰・瓶詰・カップ麺も賞味期限が切れたものは不安)
5、古すぎる古着・洗濯していない毛布・布団・下着など
6、自分で食料などを確保できないボランティア


 千羽鶴や応援メッセージ、寄せ書きが「不要」「迷惑」というのは意外かもしれない。また、読者のなかには「人の善意をなんと思っているのか!」と怒る人もいることだろう。しかし、これが被災者の本音だ。もちろん、寄せ書きに勇気づけられたという声もある。しかし、千羽鶴や、大きな模造紙に子どもたちのメッセージが書き込まれた寄せ書きなど、避難所では飾る場所も貼る場所もなく、結局燃やしたという声も多い。

 このような「迷惑な善意」は千羽鶴や寄せ書きだけではない。僕が東北の避難所でよく聞いたのは、「あちこちから、いろんなNPOがやってくるけど、どいつもこいつも心のケア、心のケアってうるさいんだよ。俺たちはもう、心のケアと聞いただけで鬱になりそうになる」という声だ。もちろん僕は、心のケアや千羽鶴を否定するワケではない。ただ、心のケアや千羽鶴を被災者に届けたいと思う人たちは、避難所の人たちがそれをどのように受け取るか、想像力を働かせて提供すべきだと思う。