課題の多い待機児童問題
このまま無策でいいのか

オウチーノ代表取締役社長 兼 CEO
井端純一

いばた・じゅんいち/同志社大学文学部新聞学(現メディア学)専攻卒。リクルートを経て、『週刊CHINTAI』『ZAGAT SURVEY』取締役編集長などを歴任。2003年、オウチーノを設立。著書に『広報・PR・パブリシティ』(電通)、『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』『10年後に絶対後悔しない中古一戸建ての選び方』(河出書房新社)など。

「保育園落ちた 日本死ね!」というブログから始まった待機児童問題への関心は、2ヵ月余り過ぎた今も高まる一方だ。

 待機児童数は、2015年4月1日現在、2万3167人。「1億総活躍社会」と調子のいいことを言いながら、女性が働きやすい環境整備すらおぼつかない国の無策ぶりに、国民の静かな怒りが広がっている。

 問題の根幹は大きく3つ、認可保育所が足りないこと、保育士が不足していること、保育士の給料が安すぎることだ。

 中でも保育士の給料は公定価格になっていて、事業者が勝手に上げられない仕組みになっている。キャリアプランをつくってスキルの高い人材を遇したくとも、できないのである。これでは人は集まらない。

 その一方で、15年の東京23区新築マンションの平均価格は6732万円。前年比12.3%増、バブル期以来の高値である。

 これはもう、夫だけの収入では賄えない。夫婦2人がフルに働いて住宅ローンを返していかねば、人並みの生活ができないところまで、住宅費の負担が重くのしかかってきているのだ。