「今日の100円は、明日の100円よりも価値がある」というのは、どんなファイナンス入門書にも書かれている考え方だ。同じ100円でも、今日受け取れるか明日受け取れるかによって価値が違ってくる。

要するに、いますぐ受け取れるお金ほど価値が高くなり、遠い将来に受け取るお金ほど価値が低くなる。つまり、「明日の100円は、今日の100円よりも価値が低い」ということだ。

あなたが「1年後の1001万円」を選ばずに、「いますぐの1000万円」を選ぶのは、後者のほうが価値が高いことを知っているからだ。これくらい極端な例であれば、誰でも「価格」にダマされることなく「価値」を見抜くことができる。

では、「3日待ってくれれば1500万円で買おう」と言われたときはどうだろうか?

3日以内に男性が心変わりする危険を冒してでも、1500万円を手にする道を選ぶ人もかなり出てくるはずだ。そういう人は「3日後の1500万円」のほうが「いますぐの1000万円」よりも価値が高いと考えていることになる。

このとき、あなたが「1000万円」と比べているのは、「3日後に受け取れた1500万円」ではなく、「3日後に受け取れそうな1500万円」であり、これは少なくとも「いますぐ受け取る1500万円」よりは価値が低い。

つまり、あくまでも現時点から見た価値を考えているということだ。
これを現在価値PV: Present Value)という。

次回はこの現在価値の割り出し方について、詳しく説明することにしよう。