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あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第20回】 2016年5月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

世界のプロ投資家は意外と何も考えていない
ファイナンス理論における「ボラティリティ」の考え方

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世界の投資のプロたちは、どのように株価などの予測をしているのだろうか? 実は彼らもそれほど難しいことをしているわけではない。注目のファイナンス理論入門書『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』のなかから紹介していこう。

世界のプロ投資家は意外と何も考えていない

【これまでの連載のあらすじ】
僕たちが正しい選択を行うためには、見かけの価格に騙されず、その対象の現在価値を知らなければならない。
現在価値を知るには、将来のキャッシュフローを割り戻すための割引率(金利)を見積もる必要がある。金利とはリスクへの見返り(リスクプレミアム)なので、まずは何より、リスクの量を見極めることが、価値判断には必要だった。
一方、リスクとは結果(データ)のばらつきの大きさである。ばらつきの度合いは、統計学的には標準偏差として表現される。標準偏差がわかると、だいたい3分の2の結果が収まるような範囲を割り出すことができる。

もちろん、明日の株価が上がるか下がるかは、神様にしかわからない。

しかし、「株価がだいたいどれくらいの範囲に収まりそうか」は、過去のデータをもとに割り出すことができるのだ。

僕は以前、JPモルガンやゴールドマン・サックスといった世界的に有名とされる金融機関にいたことがある。

世の中の人たちは、きっと「とんでもなく『頭のいい人たち』がとんでもなく高度な株価分析をしているに違いない」と考えていることだろう。

ただ、実際のところ言えば、分析がいくら高度であるにしても、彼らも内心は「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と思っているはずだ。というのも、どんな金融機関や機関投資家も、リスクの管理には標準偏差(=株価はランダムウォークすることが前提)を使っているからだ。

標準偏差が表すばらつきは、データ数が多くなるほど誤差も小さくなるが、実務の世界ではデータが十分あるという前提に立ち、「68・27%の確率でこの範囲に収まる」と決め打ちして運用しているケースがほとんどなのである。

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野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


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