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あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第29回】 2016年6月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

ノーベル賞経済学者が考えた
「市場」最強の株式投資法

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世の中にはさまざまな株式が存在している。リスクを減らすためには、それらの組み合わせが重要になるが、「市場で最もリスクが低く、最もリターンが高い組み合わせ」とはどんなものだろうか?ノーベル賞経済学者が発見した「市場」最強の投資法を、ファイナンス理論入門書『あれか、これか』のなかから紹介していこう。

マーコウィッツの美人投票――効率的フロンティア

前回見たとおり、ポートフォリオを組むことで、株式投資の「リスクだけを下げること」はたしかに可能だ。

▼参考▼
「損したくない人」のためのノーベル賞投資理論
http://diamond.jp/articles/-/90232

しかし、すでに見たケースは、2つの株式を1対1の割合(50万円ずつ)で購入した場合だった。しかし、ここで満足してはいけない。2種類の株式から成るポートフォリオにはそれぞれの株式が占める比率に応じて無限の組み合わせがある。つまり、もっと確実に稼げる、効率のいい組み合わせがあるかもしれないわけだ。

1対1の割合以外の組み合わせについても同様の計算をしてみると、それぞれのリスク・リターンの点の集合はどうなるだろうか?

図のとおり、2銘柄から成るポートフォリオのリスク・リターンは、ちょうど弓矢の弦を左に大きく引いたような形になる。では、これらのうち、どのポートフォリオがいちばん有利と言えるだろうか?

そう、元の線分IJからの乖離幅が最も大きい点だ。なぜなら、その点こそがリターンを変えずにリスクだけを最も低減させていることになるからである。つまり、この世界では、このポートフォリオが最強の投資商品だということになる。

ただ、ここまでは仮想世界の話。現実には、日本国内だけでも上場している株式数は4000銘柄近くある。さらに、世界に目を向ければ何十万という投資対象が存在しているのだ。たった2つの株式で満足してはいけない。

現実の市場に存在しているすべての株式から最低のリスクで最高のリターンが得られる最強のポートフォリオをつくれないだろうか?

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野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


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