GE、マイクロソフト、グーグル……プロ中のプロだけが集まる場所

 本書『世界の最も野心的なビジネスエリートがしている一流の頭脳の磨き方』は、できる人が「どのようにして頭脳を磨いているか」を具体的に紹介するものだ。それも世界の第一線で活躍するビジネスエリートやエグゼクティブ(幹部層・上級管理職)たちが共通して何を学んでいるのかを紹介したい。

 日本ではあまり見られないが、とりわけ欧米、とくにカナダやアメリカでは、優秀なビジネスエリートは、仕事の多忙な時間の合間をぬって学校にまで通ってビジネスの勉強を続ける。

 理論や新しい発想のインプットがなければ、ビジネスパーソンとしてのレベルが相対的に後退していくと強い危機意識を持っているのだ。

 そういった現役のビジネスエリートが通う教育機関としていま最もよく知られているのが「EMBA」、つまり「エグゼクティブMBA」だ。

 本書は山崎と岡田の共同執筆のかたちで書いていくが、われわれはそのEMBAの同窓生だ。山崎はこれまで東芝やゲートウェイでプロダクトマネジャーとして勤めたのち、モバイル向けソフトウェアベンチャーに参画したが事業は失敗。その後、IT系企業の米国法人でシニアプロダクトマネジャーを経てカリフォルニア工科大学でテクノロジーマーケティングを学び、さらにEMBAでマネジメントの学びを深めた。

 岡田はリクルートグループで企業向け採用コンサルティング、個人向けキャリアカウンセリング、事業開発、営業企画立ち上げなどを経て、EMBAで経営の視点を身につけ、現在はリーダーシップで有名な米系大手グローバル企業にてHR(人事)マネジャーをしている。

 われわれが通ったUCLA‐NUSのEMBAは、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)とシンガポール国立大学(NUS)が共同で行っているプログラムで、オックスフォードやケロッグなどと並んでEMBAとしては「世界のトップ5」と言われている。

 クラスメイトの国籍は16〜20ヵ国、人種も多種多様、そして何よりも彼らの経験がユニークだ。GE、マイクロソフト、グーグル、ユニリーバ、P&G、DHL、アクセンチュア、ボーイングなどのグローバル企業のゼネラルマネジャーやCFO(最高財務責任者)クラスから、スタートアップ企業の経営者や投資家、アジア新興IT企業での戦略担当責任者、シンガポールやマレーシアの政府関係者、韓国の財閥グループの御曹司、さらには医学博士までいる(人種のるつぼならぬ)「キャリアのるつぼ」だ。

 寄ると触ると「シンガポールで何に投資して何十億儲けた」「中国で仕掛ける新規ビジネスについてどう思うか?」といった生々しい話が持ち上がる。世界のビジネスの最前線にいる者たちが「最も集まっている場所」と言っても過言ではないだろう。