主体性には自信が必要~炎上をも跳ね返す、勘違いのエネルギー

ムーギー『女子高生社長、経営を学ぶ』は、実際に読んだ方からの評価は、私も含めて高いです。しかしAmazonレビューを拝見すると、心ない言葉が書かれています。そもそも「高校生にもわかるように経営の基礎から大切な教訓をまとめた」と書いてあるのだから、その目的以外の理由をあげつらってひたすら批判されても困ると思うのですが、私はとてもよい本だと思いました。

 アマゾンでは残念ながらよくあることですが、単に著者のことを嫌いな「アンチの方々」が、並々ならぬエネルギーを注いで誹謗中傷に近いコメントを書かれることがあります。他のサイトでの「本当に読んだ人からの評価」とかけ離れたレビューが多いのは、本書に限った話ではありません。しかし里佳さんは人の目に入りやすい存在とはいえ、多感な御年頃でしょう? 心無い書き込みで、萎縮したりしませんか?

椎木 普通の子ならするでしょうね。でも、幸い里佳の場合、僕たちが勘違いさせたエネルギーが半端なかったみたいです(笑)。

ムーギー 私の勘違いは、これくらいじゃ冷めないぞと。

椎木 はい。勘違いレベルの強さが、まだ炎上を跳ね返していますね。あと、娘には小さいころからいつも「自分で考えて自分の意志で行動しろ」と言ってきました。考えるだけで行動しない人はいっぱいいる。行動する人は行動しない人よりすごい、行動せずに文句だけ言うやつは気にするな、と。だから、考えて思いついたら即行動してPDCAサイクルを回せって。それだけ伝えたら、あとは放任です。口を出したくなっても我慢しています。

ムーギー ああ、それはとても興味深いポイントです。本書の中で紹介している数多くの「親に最も感謝している教育方針」に関するアンケートでも、「自主放任」の教育方針に感謝している人が非常に多かったんです。あれをやれ、これはダメと指図すると、自分で考える力が身につかない。選択肢は与えて「あとは自分で決めなさい」と任せることで、自分の人生を切り拓く主体性がつくようです。

子どもはおおいに「勘違い」させよ!

椎木 実際、里佳は先日Forbes ASIAの「30歳以下の世界が注目すべき30人」に選ばれました。それで、その30人のコミュニティでコミュニケーションをとるために、いままで以上に英語をがんばっています。今日も23時から、仕事のあとに英語と中国語を勉強する予定だそうです。これも、自分で決めたことですね。

ムーギー へえー! そんなのに選ばれたら、ますます勘違いなさるんじゃないでしょうか?

椎木 勘違いのパワーが、里佳をより主体的な人間にしているのは間違いないでしょう。

ムーギー 勘違いが自信と主体性を育む根源になるというのは、じつは多くの家庭で共通する話です。そういえば私も子どものころ、親からずっと「お前はすごく賢いんだ」と言われていました。ところが、「どうして?」と聞くと、「お前は2歳のときに、なにか凄まじく賢いことを言ったんだ。何を言ったかは忘れたけど」と言われてきたので、かなり疑わしい話ですが(笑)。

椎木 根拠が弱い(笑)。

ムーギー でも、「お前は賢い」と念仏のように言われ続けたおかげで、テストの点数が悪くても「オレは賢いんだから、最後はどうにかなる」と思っていました。壁に当たっても「大丈夫、結局のところ、オレは賢いし」と自信を持てた。おおいに勘違いして「勘違いエネルギー」を蓄えることは、力強く生きるうえで不可欠かもしれませんね。