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接近するイランとロシアの同床異夢、関係発展に限界か

ロイター
2016年5月3日
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防空システムの最初の部品を今月ロシアから受け取ったイランは、軍隊の日を祝う軍事パレードでロシア製対空ミサイル発射装置を誇示した。写真はロシアのプーチン大統領(左)とイランの最高指導者ハメネイ師のテヘランでの対談。2015年11月に撮影(2016年 ロイター/Alexei Druzhinin)

[ドバイ/モスクワ 26日 ロイター] - 防空システムの最初の部品を今月ロシアから受け取ったイランは、軍隊の日を祝う軍事パレードでロシア製対空ミサイル発射装置を誇示した。

 テヘランがそれを祝うのには理由がある。つまり、こう着状態にあった「S─300」システムの売却を推進するという1年前のクレムリンの決定が、二国間における協力関係の強化を明確に示す証拠となったのだ。両国はシリア内戦で形勢を一変させ、中東での米国の影響力に挑んでいる。

 しかし同時に、この売却の遅れは、共通の世界観よりも利害の一致によって形成された両国関係の限界を指し示すものとなった。イランはイデオロギーをめぐって指導者層が分裂する一方で、ロシアは関係強化に対し消極的な兆候を見せている。ロイターが取材した外交官や政府当局者、アナリストらはそう分析する。

 イランの政府当局者には、今よりもさらにロシアとの関係を深め、戦略的な提携を望んでいる者もいる。しかし、ロシア政府は、シリア内戦で、ともにアサド政権を支援するイランに対して、現行の協力関係上の新たな局面と述べるのみだ。

 「我々はイランとの友好な関係を常に発展させてきている。しかし、両国間の新たなパラダイムについては本当に話すことはできない」とロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は先月語った。

 ロシアは2007年、S-300システムをイランへ売却すると合意したが、核開発プログラムをめぐる対イラン制裁を受け、2010年に売却を凍結した。

 ロシアは昨年4月、対イラン制裁を解除。それはイランが原子力計画を抑制する見返りに、イランと主要国が核関連に絡む制裁解除に向けた合意に近づいたタイミングだった。

 ロシアは現在、イランへの武器売却によって得られる経済的・外交的な利益と、サウジアラビアや米国、イスラエルなどの怒りを買ったり、イランがあまりにも強力になったりするリスクとを天秤にかけて比較検討している。

 「この提携は軍事的、経済的な面において、両国にとって有益だ」とサンフランシスコ州立大で中東イスラムの歴史を研究するMaziar Behrooz准教授は説く。「しかし、地政学的な水準では、イランとロシアは、戦略的ではなく、短期的な戦術的提携しか築くことができない。両国のイデオロギーの違いは大きすぎる」

ダマスカスを支援

 ロシアのプーチン大統領が昨年9月、シリアへの軍事介入を命じ、イランの味方であるアサド大統領を支援して以来、ロシアとイランの長い友好関係は新たなレベルに達したように思われた。

 イランはシリア反体制派の気勢をそぐため、アサドの政権軍を支援する自らのイスラム革命防衛隊を派兵。ロシアの空軍の力を得て、こう着状態を打開し、アサド大統領を優位に立たせた。

 軍事的に両国は補完し合った。イランは、シリアの地元勢力と連携できる、鍛錬された地上軍を派兵。一方、ロシアは、イランとシリア政府軍に欠けている一流の空軍力を提供した。

 外交的には、この共同作戦によって、地域の安全保障構造をめぐるあらゆる議論において両国は中心的な役割を得ることとなった。

 これはプーチン大統領にとって重要なことだ。なぜならば、同大統領は、親ロシアだったリビアのカダフィ大統領が殺害されて以来、中東地域での同盟を強化し、ロシアの影響力を高めようとしていたからだ。

 イラン核問題をめぐる制裁が解除された今、ロシア政府がどれほど上手に、儲かる商談を獲得できるかは不透明だ。ロシア企業がイランで新たに進出している兆しはこれまでのところ、ほとんどない。

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