「葛飾」と聞いて思い出すものと言ったら、ご存知「寅さん」。山田洋次監督による松竹映画『男はつらいよ』シリーズの主人公だ。

 故渥美清氏が好演した“フーテンの寅さん”はスクリーンの枠を飛び出して、国民的人気者となった。その寅さんの故郷が、今回紹介する葛飾区の柴又である。葛飾には、行きたいところがたくさんある。1つだけ挙げるなら、堀切菖蒲園だろう。江戸時代にはすでに、江戸っ子たちの一大観光スポットだった。

老年人口も年少人口も多い?
「寅さん」の故郷、葛飾に住む人々の素顔

 寅さんの故郷には、まだまだ伝統的な習慣や生き方が受け継がれているのだろうか。葛飾区は、東京にしては家族が多い。1世帯当たりの人員は23区中第3位。同じく、世帯人員「5人」「6人」の割合が、いずれもナンバーワン。人口性比が100をわずかに超え、第8位。ほぼ男女同数に近いのだが、23区の中ではやや男性が多い部類に入る。

葛飾区――よく働きよく子ども生む大家族が守り続ける「寅さんの故郷」

 老年人口(65歳以上)の割合は第4位だが、年少人口(0~14歳)の割合も、同じく4位だ。ただ、生産年齢人口(15~64歳)の割合が下から2番目。このままでは、高齢化がかなり加速していきそうである。

 死亡率第5位も、やはり高齢化の兆しか。しかし、平均年齢は第7位で、突出して高いというほどでもない。一方の出生率は6番目、合計特殊出生率は3番目。葛飾の女性は、23区の中ではよく子どもを産むほうだ。

 大勢の家族で一緒に住んで、よく働き、女性は結婚し、子どもを産み…。そんな伝統的なライフスタイルが、今も脈々と受け継がれているさまが見て取れる。それでも人口の自然増加率はマイナスで第16位。子どもを産む年齢層の女性の絶対数が少ないということだろう。