自分を大切にしてほしい女性

楠木 いいですねえ、それ。一方で、女の嫌さは何かないですか? 男の耐えられない嫌さは、今述べたものだと思うんですけど。

和田 やっぱり「私を大切にしてほしい」っていう価値基準でしょうか。

楠木 よくぞ言っていただきましたね!なんでそんなに愛されたがるの、と不思議な気持ちにさせる女性がいますね、ときどき。話がただの雑談になっていきますが(笑)ジェンダーとかダイバーシティとか言っている世の中で、僕は申し上げたいのは、女性はね、「基本的に自分はいける」と思っているんですよ。男はどっちかというと「ちょっとダメじゃないかな」って思っていませんか?

橋本 自己評価は、まあ、自分の評価はたとえば、6掛けにしなきゃいけないと、戒めていますけどね。

組織で椅子取りゲームをする男性、それを見ている女性

楠木 良い言葉で言うと「謙虚」。でしゃばったり、分不相応なことをして迷惑はかけない。ところが女性は、なんだかんだ言って、「私はいけてる。私は受け入れられてる」という前提が、奥底にある気がします。

 保険の営業をしている女性の方たちと意見交換をしに行ったことがあるのですが、その場で話を伺っていると「私がちょっと出て行けば、敵はコロッと来るから……」みたいな、「なんかいけてる」感が、言葉の端々に出ているんですよね。こっちは「どこ押しゃそういう言葉が出て来るんだよ……?」と内心思ってるんですけど(笑)。

丸山 女性が多い現場も見てきたので、それはわかりますね。

楠木 具体的に何をもっていけてるかという話ではないんですよね。基本的な前提の持ちようがデフォルトで「いけてるから」となっている。

 僕は、『好きなようにしてください』の一つのメッセージとしては、基本、男も女もないと言っています。でも、本性には逆らえない面も一部ある。だから、違った本性を持ってる人が混在してるほうが、極端にならなくていいかなと思っています。アルカリ性と酸性を中和させて、みたいものがある方が、いいかなと思うんですよね。

 だから、逆に女の人ばっかりの仕事の組織が、これからどんどん増えていったとすると、これまた、おもしろいことが起きるかもしれない。それもまたイヤな感じでイイですね(笑)。

※後編は5月26日(木)公開予定です。