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読者座談会:好きなようにしてください
【第5回】 2016年5月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
楠木 建 [一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授]

仕事において、プロセスや自己実現は必要ない
『好きなようにしてください』読者座談会――マネジャー編(後編)

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『好きなようにしてください』の読者3名が、著者の楠木建氏と語り合う座談会。後編では部下を持つ3人が楠木氏と若手のマネジメントについて、厳しい主張を交わします。(撮影・鈴木愛子、構成・肱岡彩)

「好きなようにしてください」でマネジメントできるのか

楠木建
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。専攻は競争戦略。著書に『ストーリーとしての競争戦略』『「好き嫌い」と経営』『「好き嫌い」と才能』(すべて東洋経済新報社)、『戦略読書日記』(プレジデント社)、『経営センスの論理』(新潮新書)などがある。

楠木 『好きなようにしてください』の一つの本質は、何かを諦めるとか、何かを捨てることとイコールだと思うんですよ。僕の場合だと、いろんな…頭髪のみならず、動員する資源のスケール(前編参照)とかを失っているわけなんですよね。

 僕がどうしても捨てたかったものは、上司部下の関係なんです。僕は、人に率いられることも嫌だったし、もっと嫌なのは人を率いること。だから、絶対に部下っていう存在を持ちたくない。

 ところが、皆さんはマネジャーとして部下を持っていらっしゃる。「好きなようにしてください」って言うのは簡単ですが、これで部下を、パッとマネジメントできるわけはない。『好きなようにしてください』に書かれている内容は、どんなふうに映りましたか?

和田 ここに出てくる悩みっていうのは、自分の悩みに照らし合わせるっていうより、「いま若手が抱えている悩みなんだろうなあ」って思いながら読みました。

楠木 ああ、そうですか。

和田史子
ダイヤモンド社勤務。書籍編集局第三編集部の編集長として、8名のチームを率いる。

和田 ただし、「好きなようにしてください」って、結局、自分で考えなきゃいけないじゃないですか。言うのは簡単なんですけれど、サポートをせずに、「好きなようにしてください」だけで、本当にいいのかなとも感じました。

楠木 「好きなようにしてください」って、ある意味、きつい話です。何のために「好きなようにしてください」なのかと言うと、あなたが幸せになるのが一義的な目的ではない。仕事を仕事として成り立たせるためには、好きじゃないと上手くなりようがない。人の役にも立てないし、人の役に立って初めて仕事になります。だから、好きじゃないと仕事にはなりませんよ、というのがタイトルに込めたメッセージの真意です。

 だから、相田みつを的じゃないんですよ。「人間だもの」っていう話じゃなくて。わりときつい話をしているつもりなんです。

 僕は、部下を持ったことはありませんが、もし部下を持ったとしたら、「好きなようにしてください」「自分の得意なことはなんですか、教えてください」と言って、なるべく、個人の好き嫌い、得手不得手に合わせて仕事を振ると思います。けれど、どうやっても成果が出なかったら、僕はきっと切ると思うんですよ。「仕事できないね」って言って。

和田 怖い……。

楠木 ただそれは、その人の全人格を否定するわけじゃない。たまたま、いまやっている、この方向で成果が出ないので、絶対ほかにもっと好きになれることがあるから別の仕事についてくださいと。もちろん、それが就業の規則でできる、できないもあります。ただし、僕は、そういう行動を上司として取るタイプだと想像します。

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楠木 建 [一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授]

1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。2010年5月に発行した『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)は、本格経営書として異例のベストセラーとなり、「ビジネス書大賞2011」の大賞を受賞した。ツイッターアカウントは@kenkusunoki


読者座談会:好きなようにしてください

20代~40代から寄せられた仕事の迷いや悩みに対して、時に厳しく、ユーモアに溢れた視点で語られる、楠木建氏の著作『好きなようにしてください』。 本連載では、本書を実際に読んだ読者が、著者である楠木建氏とともに、仕事に対する考え方を語ります。

「読者座談会:好きなようにしてください」

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