旧聞に属する話で恐縮ですが、先月、「デジタル教科書教材協議会」という組織が発足しました。すべての小中学生がデジタル教科書(ITを活用した電子教材)を持つ環境の実現を目指しているようですが、どうも違和感を覚えざるを得ません。そこで、今週はこの問題について考えてみたいと思います。

米国企業主導でいいのか?

 もちろん、この協議会が掲げる目標を否定する気はありません。デジタル教科書ならば、紙の教科書よりも内容が豊富かつリアルになり、学習意欲の向上にもつながるでしょう。

 しかし、今のままではいくつかの問題点があると言わざるを得ません。最大の問題は、日本のデジタル教科書のことなのに、米国のIT企業ばかりが前面に出て来ていることです。

 この協議会には、会員として日本の主立った出版社やIT企業、ネット企業なども参加しています。その意味で、形式的には内外無差別、日本企業についてはオールジャパン的な体制になっています。しかし、協議会の発起人リストを見ると、学識経験者以外の民間代表はソフトバンクとマイクロソフトです。

 しかも、ソフトバンクの孫社長は設立記念シンポジウムで挨拶していますが、自分の会社が扱うアップルのiPadを、国の予算を使って日本全国の小中学校に配ろうと意気込んでいるように見受けられます。実際、iPadを使ったデジタル教科書のデモも行なっています。

 つまり、この協議会でデジタル教科書普及のイニシアティブを取りそうなのは、アップルとマイクロソフトという米国IT企業なのです。穿った見方をすれば、日本のデジタル教科書の端末やプラットフォーム(流通や付随するサービスなど)が米国IT企業に支配されかねないのではないでしょうか。それが本当に日本の教育にプラスの効果をもたらすのでしょうか。