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ドル調達コスト、過熱感解消へ 収益望めない米債投資冷え込み

ロイター
2016年5月14日
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本邦勢のドル調達コストが、ピークアウトの兆しをみせている。写真はブダペストで2011年11月撮影(2016年 ロイター/Laszlo Balogh)

[東京 12日 ロイター] - 本邦勢のドル調達コストが、ピークアウトの兆しをみせている。米長期金利の低下と調達コストの高止まりの結果、十分な収益確保が難しくなり、米国債投資意欲が低下。過熱してきたドル調達ニーズが落ち着いてきたためだ。同時に日銀の導入したマイナス金利によるコスト増分を投資家に転嫁する金融機関が増え、外債投資で稼ぐ必要性が低下してきたことも指摘されている。

ヘッジ付き投資の減少とヘッジ無し投資の増加

 本邦勢は外債投資に際して、為替リスクをヘッジする目的で為替スワップを利用する。

 マイナス金利の導入で一段と行き場を失ったマネーが対外投資に向かった結果、ドル/円スワップを通じた本邦勢のドル調達コストは、今年2月に3ヵ月物で1.3%まで上昇し、米国債5年物の利回り

 しかし、上がる一方だったドル調達コストは、足元で1.02%程度まで低下。本邦勢のドル資金需要に何らかの変化が生じ、調達コストの低下として表面化した可能性がある。

 「民間投資家は、ヘッジ付き外債投資を圧縮し始めたようだ。ヘッジコストが高過ぎるので、無理して外モノ(外債など)を買うのをやめて、国内のマイナス金利の負担分は、契約者や個人に直接転嫁するようになったのだろう」(金融機関資金担当者)との声が市場で出ている。

 一方、足元で外債を購入しているのは、為替スワップを使わないアウトライト(ヘッジ無し)の投資家とみられている。市場では、円高阻止など別の使命を帯びた機関が、こうした取引の主役になっているとの見方が広がっている。

 財務省の「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、本邦勢による対外証券投資(株式・投資ファンド持分と中長期債投資の合計)は、今年4月に4078億円の売り越し。3月の7兆1712億円の買い越しから、投資行動が劇的に変化した。  国内の低金利による逆ザヤで、高リスク投資が増加しているとされる生命保険などの機関投資家の間では、外モノ投資をめぐって温度差が出てきている。

 富国生命保険はロイターとのインタビューで、2016年度の一般勘定の運用方針で、米国債金利が低迷する一方でヘッジコストが上昇し、日本国債から外債への大規模シフトをいったん休止するとした。

マイナス金利の負担、金融機関が投資家に転嫁

 日銀がマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)を開始し、QQEの当初に期待されていたポートフォリオリバランス効果が失われているとの指摘が、短期金融市場の関係者から出ている。

 「今、目の前で起きているのは、コストリバランス。つまり金融機関や運用会社が、投資家にコストを押し付ける流れだ」(国内銀)という。  国内信託銀行は、4月半ばから金銭信託にマイナス金利の適用を開始した。金銭信託は、資産運用会社や年金基金などが短期資金を運用するために使用しているが、日銀のマイナス金利導入によるコスト増分が転嫁される。

 同時期に資産運用各社は、投資信託を購入する個人投資家などにマイナス金利に伴う負担増分を請求し始めている。

 複数の市場関係者は、こうした環境変化を反映して、利回り狙いの外モノ投資が減少し、ドル資金需要が弱まっている可能性を指摘している。

 実際、信託各社がマイナス金利負担の投資家転嫁を開始した4月18日の週に、ドル/円スワップでは、オーバーナイト物でドル調達コストが大幅に低下。

 その裏側で、大幅なマイナス金利による円資金調達を続けてきた海外金融機関の円調達コストが、ゼロ近傍まで上昇した。

低過ぎる米国債利回り

 さらに米金利の低下も、ドル債需要を低下させているとみられている。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が、利上げに慎重なために「市場は年1回の利上げも織り込んでいない状況だ」と、SMBC日興証券・為替外債ストラテジスト、野地慎氏は述べている。

 同氏は、10年米国債利回り

 米国での低利回り継続を見込んで、一部の機関投資家の間では「今年度の米債投資予算はゼロ」(運用担当者)との方針も聞かれる。

(森佳子 編集:田巻一彦)

 

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