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大手行の今期業績見通し、マイナス金利と海外失速で減益へ

ロイター
2016年5月16日
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大手銀行グループの2017年3月期業績見通しは、減益基調となる。写真は大手行の看板、都内で2014年2月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 16日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手銀行グループの2017年3月期業績見通しは、減益基調となる。国内では、日銀によるマイナス金利導入の影響で苦戦が続き、頼みの綱だった海外も新興国の景気減速で厳しい展開になりそうだ。各金融グループは貸出に依存しない手数料ビジネスへと急ピッチでかじを切っている。

海外ビジネス曲がり角

 17年3月期の当期利益が減益見通しとなったのは、大手5銀行グループのうち、三菱UFJ<8306.T>とみずほフィナンシャルグループ<8411.T>、りそなホールディングス<8308.T>。三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>と三井住友トラスト・ホールディングス<8309.T>は前期に、消費者金融子会社やカード会社向けの引当金の計上などがあったため、今期は増益を見込む。

 みずほの佐藤康博社長は決算会見で、減益見通しの理由を問われて「世界経済と日本経済のスローダウン、マイナス金利の影響もある」と答えた。

 各行は、縮みゆく国内収益を海外ビジネスの拡大で補ってきたが、その構図がいよいよ持たない状況になりつつある。

 まず、海外景気の悪化が収益を圧迫する。三井住友銀行はアジア向け貸出をリーマン危機以降、一本調子で伸ばしてきたが、16年3月期に初めて減少へと転じた。欧州や米州向けは残高を伸ばしているものの、増加ペースは落ちている。みずほの海外貸出金も「今期は微増」(佐藤社長)に留まる見通しだ。

 もう1点が、ドル調達コストの増加だ。三井住友トラストは、16年3月期の資金利益の減少の要因の1つに「外貨調達コストの上昇」を挙げた。前期と比べると、9ベーシスポイント悪化したという。

 米金利の先高観に加え、国際金融規制の強化でドルの流動性が下がっているのが背景で、今後も邦銀のドル調達コストに対する懸念はくすぶり続けそうだ。

マイナス金利の重荷、幅広い分野で

 国内では、マイナス金利の重しものしかかる。これまでも低金利政策の影響で、貸出利ざやは縮小の一途だったが、マイナス金利によってさらに拍車がかかる見通しだ。貸出収益の下押し幅は、三菱UFJで350億円、みずほで400億円、三井住友で200億円を想定。

 それに加えて、様々な金融取引での影響も見過ごせない。「デリバティブは、マイナス金利での約定が困難になる。市場環境の悪化による運用商品の販売も落ち込む」(三菱UFJの平野信行社長)などの指摘も出た。

 平野社長は「マイナス金利に伴い、今後の経済・金融に対する先行き不透明感がなかなか払拭できない」との見解を表明した。

手数料ビジネスに傾斜、コスト構造見直しも

 各行は、貸出ビジネスでの収益確保ではなく、リテールでは投資性商品の販売や運用、企業向けでは、シンジケート・ローンやプロジェクト・ファイナンスの組成、M&A(買収・合併)に伴うアドバイスなどの手数料ビジネスを収益の柱に据える体制を整えつつある。

 三菱UFJなどは、すでに粗利益に占める手数料収入は5割程度に達しているが、さらに強化させる。

 三井住友は、傘下のSMBC日興証券とSMBCフレンド証券の統合による証券事業の強化や、持分法適用会社だった三井住友アセットマネジメントの連結子会社化により、非金利収益の一段の強化に動き出した。

 一方で、国内の低金利環境の長期化により、コスト構造の見直しに着手する動きも出てきた。三菱UFJの平野社長は、今後10年間で総合職3500人の削減を予定していると公表。自然減で対応するが、減少分はシニア層を充てることも検討し、人件費の削減に取り組む。

(布施太郎 編集:田巻一彦)

  
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