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読者座談会:好きなようにしてください
【第8回】 2016年6月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
楠木 建 [一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授]

「好きなようにしてください」が成り立つ、暗黙の条件
『好きなようにしてください』読者座談会――人事部門編(後編)

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人事部の仕事の本質から、なぜ人事部が制度設計に走りやすいのかまで、前編中編にわたって、楠木氏の著作『好きなようにしてください』を軸に考えた座談会。最終回では、どうすれば組織で「好きなようにしてください」が成り立つのか、深堀します。(撮影・鈴木愛子、構成・肱岡彩)

「好きなようにしてください」が成り立つ前提

宮島宗太(仮名)
メディア系企業勤務。リクルートグループ、外資系ネット通販企業、大手コンサルティングファームなどを経て現職。主にリクルーティングを中心に、人事系のキャリアを歩む。

宮島 「好きにやること」がやりづらい原因の一つは、好きにやることのトレード・オフが、なかなか成り立たないからだと思うんです。

 私はリクルートグループに通算10年いたので、その感覚値をもっているのですが。リクルートグループでは、好きなことは、リクルートの中でやれないんだったら、べつに外でもいい。リクルートでやりたいんだったら、それでもいいという価値観だと感じていました。

 外に出るという選択肢が、組織の中でも自分の中でも、半ば当たり前化しています。だから、べつに好きなことを言えばいいし、合わないなと思ったら、喧嘩別れじゃないにしても、ちゃんと卒業すればいい。

 ただ、ほかの会社って、そこの逃げ道っていうわけじゃないけど、ほかのオプションがそもそも、ないんじゃないかなって思うんです。だから好きなようにしづらい。

楠木建
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。専攻は競争戦略。著書に『ストーリーとしての競争戦略』『「好き嫌い」と経営』『「好き嫌い」と才能』(すべて東洋経済新報社)、『戦略読書日記』(プレジデント社)、『経営センスの論理』(新潮新書)などがある。

楠木 たしかに。「好きなようにしてください」が、暗黙のうちに持ってる前提があって。一つは、その人がかなり自立的で、自由意志に基づく自由度を持っているっていうのがある。

宮島 そうですね。

楠木 前提としてね。そうじゃないと話が始まらない。

宮島 あとは、リクルートグループの場合、従業員に対して一切人質のようなものを取っていない気がします。

大森 人質って、どういうことですか。

大森智子(仮名)
商社勤務。人事・総務全般を担う。

宮島 今後のキャリアの安定性みたいなものです。本当は、どの会社にもそんなものはないと思うんですけど。

 とはいえ、企業によっては、今後のことをちらつかせている場面はあると思いますし、属している人も、「いまの会社における自分の将来」を意識させられる場面が多いと思うんです。

 リクルートグループの場合は、いい意味で「リクルートの中で偉くなってもしょうがない」とも言われたりするんですよね。

 そうするとみんな、好きなように、「じゃあ俺、次、どうしたらいいかな」とか、「俺、そもそも、何がやりたかったんだっけ」とか、自然と考え始めるんですよね。

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楠木 建 [一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授]

1964年東京生まれ。1992年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。2010年5月に発行した『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)は、本格経営書として異例のベストセラーとなり、「ビジネス書大賞2011」の大賞を受賞した。ツイッターアカウントは@kenkusunoki


読者座談会:好きなようにしてください

20代~40代から寄せられた仕事の迷いや悩みに対して、時に厳しく、ユーモアに溢れた視点で語られる、楠木建氏の著作『好きなようにしてください』。 本連載では、本書を実際に読んだ読者が、著者である楠木建氏とともに、仕事に対する考え方を語ります。

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