新築住宅着工件数80万戸割れを受けてリフォーム事業へのさらなるシフトを図るTOTO。大型ショールームの開設や工務店の人材教育など今年、新たな目玉策に着手し、需要の喚起を狙う。競合他社のすさまじい追い上げのなか、勝算はあるのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)

 今年7月、TOTOは大阪・梅田の一等地にショールームをオープンした。今春完成した阪急百貨店が入る高層ビルの20階で、広さは840坪。提携する大建工業、YKK APとの共同で開設、3社の頭文字を取った「TDY」のショールームでは最大となる。

 白を基調とした明るい店内に足を踏み入れると、目玉の「グリーンリモデル」展示がある。新発売のキッチンを中心にウッド調の壁と床、大きな窓があるダイニング空間が広がり、さながら高級マンションのモデルルームのようだ。

 集客目標も月5000組とこの種のショールームではケタはずれ。大阪の一等地だけあってコストも決して低くはなく、それだけにTOTOの戦略拠点としての位置づけを負わせている。

 TOTOは2002年、リフォームの需要開拓を目的に大建、YKKと業務提携をスタート。健康と環境を前面に打ち出し、水回り機器、壁・床材、サッシ・窓といった各社の強い商品を組み合わせることで顧客の幅広いニーズに対応できるようにした。

 そのなかでショールームは、商品確認の場から需要創造の場に位置づけた。実際にさまざまな商品を目にすることで、需要を喚起する可能性があると見たのだ。

 カギを握るのは、立地や設備だけではない。商品説明員の質も重要だ。TOTOでは新人説明員に八つの来客者タイプをたたき込む。接客のなかでいかに潜在需要を引き出し、説得力のあるプランを提案するか、教育していくのだ。