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G7仙台会合、財政出動協調は困難 注目は為替の温度差

ロイター
2016年5月18日
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主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議が20日、仙台市で開幕する。写真は麻生財務相(左)とドイツのショイブレ財務相。ワシントンで4月撮影(2016年 ロイター/Joshua Roberts)

[東京 17日 ロイター] - 主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議が20日、仙台市で開幕する。議長国の日本は、世界経済の不透明さを踏まえ、先進国が協調する姿を打ち出したい考えだが、各国の金融や財政に関する姿勢は異なり「最大公約数的な認識の共有にとどまる」(政府筋)可能性が高い。

 日米の温度差が指摘されている為替について、踏み込んだ議論は行われない見通しだが、会合後の日米財務相らの発言に注目が集まりそうだ。

財政出動めぐる認識に溝

 「G7がいかにして協調して立ち向かうかが、大きな論点だ」──。麻生太郎財務相は17日、閣議後会見の場でG7の結束を呼びかける姿勢を示した。

 仙台会合では世界経済全般に加え、難民問題や「パナマ文書」を踏まえた租税回避問題も議題になる見通しで、翌週の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)につなげる。

 焦点の1つは財政政策をめぐる議論だ。安倍晋三首相は伊勢志摩サミットで、各国に機動的な財政出動の必要性を訴えたい考えだが、ドイツや英国は慎重姿勢を崩していない。

 麻生財務相も、ドイツにとって財政出動は「そんなに簡単な話ではない」と述べるなど、G7が財政拡大路線で一致する可能性は低い。

 20カ国・地域(G20)でも確認されている「債務残高対GDP比を健全な道筋に乗せつつ、機動的に財政政策を実施する」との認識以上には、踏み込めないとの指摘も国際金融筋から出ている。

 このため世界経済には引き続き下振れリスクがあるとの共通認識の下で、持続的成長に向けた主要国の結束をアピールするとみられる。

 具体的な手段は「金融、財政、構造政策を個別または総合的に用いる」とのG20合意の枠組みの中で、各国が独自に選択するとの考えが踏襲されそうだ。

「リスク高い」為替議論

 為替をめぐる議論も必要に応じて行われる見通しだが、足元の動向や水準などには触れず「過度の変動が経済に悪影響を与えうる」(4月のG20声明)ことを追認する程度にとどまる公算が大きい。

 4月のG20の際には、為替に関して麻生財務相が「一方的に偏った動き」と指摘した一方、ルー米財務長官が「為替市場は秩序的」と述べ、日米の温度差が鮮明になった。

 今回、G7の協調や結束を前面に打ち出したい議長国の日本にとって、為替をめぐる議論は「各国の食い違いが表面化するリスクが高い」(政府筋)ため、踏み込んだやり取りは行われない可能性が高い。

 もっとも、米財務省は4月の為替報告書で日本などを監視対象に指定。米財務省高官は16日、為替相場はこの数カ月間、秩序があるとの見解を示すとともに、全ての国は通貨安競争の回避を盛り込んだG7などの声明を順守する必要があると述べている。

 仙台会合において、ルー財務長官がG20で合意した「通貨の競争的な切り下げ回避」に言及しつつ、日本を間接的にけん制するような発言をするのか、注目度が上がっている。

 一方、麻生財務相とともに議長を務める黒田東彦日銀総裁は、1月に導入を決めたマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)が国債や貸出などの金利低下を促すなど金利面での効果がすでに出ていると強調。今後、実体経済や物価面にその効果が波及していく点を説明する見通しだ。

 伊勢志摩サミットでは世界経済が最大のテーマとされ、仙台会合の果たす役割は大きい。「パナマ文書」に国際的な関心が高まる中、租税回避の問題について、多国籍企業の課税逃れを防ぐための「BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト」をリードしてきた日本には「一日の長がある」との自負があり、得意分野を生かし議長国として議論をリードしたいとの思惑もある。

 ただ、マクロ政策の面で、具体的な協調行動で合意を形成するためのハードルは高く、G7の結束を明確に示せるか議長国・日本の力量が問われそうだ。

(梅川崇、伊藤純夫 編集:田巻一彦)

 
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