これまで、商品の品質や技術力で勝負してきた日本企業。その日本企業の優位性は、一部の圧倒的に差別化できる商品分野を除き、段々と薄れてきている。

「まだまだ商品の品質では負けていない」と考えている日系企業経営者の方々も少なくはないと思うが、単に品質がよければ売れるわけではないのは、御存じの通り。

 特に中国のように、低価格・低品質の商品から高価格・高品質の商品までが提供される顧客の選択肢が広い市場では、企業間の競争は「品質と価格」の総合的な戦いになる。つまり、相対的に顧客にアピールできる商品でないと、生き残ることはできない。

 しかも昨今は、低価格を武器とする中国ローカル企業の出す商品の品質も、「まあまあ」のレベルに上がってきており、高品質・高価格でしか勝負できない日本企業は、ますます劣勢に立たされているのが現実だ。

日本企業は自分たちの得意分野で戦うべき
商品の競争力を日本流サービスで補う

 このような状況下、日系企業が中国で生き残るための1つの鍵が、「サービス」で勝負することだと思う。

 元来、日本人にはあって中国人にないのが、「きめ細かいサービスの精神」だ。リッツカールトンの顧客サービスレベルは、リッツカールトンに宿泊した人にしかわからないように、日本の「おもてなしの心」は、そういったおもてなしを受けたことがない中国人にはわからない。

 世界でもサービスに対して厳しい目を持つ日本人というお客様に対して、長期的にサービスを提供し続けてきた日本企業だからこそ、中国でも「きめ細かいサービス」で戦うことを考えてはどうだろうか。