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人手不足の時代に本気で考える アルバイト人材育成
【第7回】 2016年6月16日
著者・コラム紹介バックナンバー
中原淳 [東京大学 大学総合教育研究センター 准教授]

ぶっちゃけ店長覆面座談会(4)
バイトと本社にこれだけは伝えたい!
中原淳(東京大学)×外食チェーン店長3人

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「アルバイトの人手不足」が話題になって久しい。現場ではいったい何が起こっているのか?今回、大手外食チェーン店の現場で奮闘する3人の店長にお集まりいただき、都内某所で「店長覆面座談会」を開催した。
聞き手は、テンプグループとともに、全国約2万5000人を対象としたアルバイト雇用調査を行い、『アルバイト・パート[採用・育成]入門』(ダイヤモンド社)を刊行予定の東京大学・中原淳准教授。
全4回でお送りしてきたこのシリーズもいよいよ最終回。10年間で有休取得はわずか1日など、過酷な現場で働きながら日々抱えている思いのたけを語っていただいた。(構成/高関進)

店長ならでは!――これが喜び

【中原淳(以下、中原)】お店の雰囲気をよくするために、どんな工夫をなさっているのでしょう?

C店長(男性)某中華料理チェーンで店長歴4年。現在は都内(23区外)の店舗を担当。つねにギリギリの状態でお店を回しており、外国人アルバイトも採用している。

【C店長】まずは言葉です。接客用の言葉遣いができてない部分が見受けられるので、そこはまずしっかりしようと話しています。あとはお辞儀をしっかりするとか、お客さんに見えるところだけでもきれいにしようとか。
それで人が育ってくれたら私もうれしいですし、アルバイトさんも続けていってくれるのではないでしょうか。まあ、まだ完全にできているわけではないので、「そうしていけたらな」という話でもあるんですが(笑)。

【A店長】工夫というほどではないですが、まず店長である自分自身が楽しくやるのが一番です。「おれについて来い」というよりも、できるだけ自分が大学生の目線に近づいて、ちょっと楽しい感じを演じながら仕事の話もしつつ、学校の話もしつつ。

【中原】ある意味、店長も「役者」というか、演じないとダメなんですね。

A店長(男性)某ファミレスチェーンで店長歴13年。現在は東京都心部の店舗を担当。周りに飲食店が多く、アルバイト1人あたりの採用単価は15~20万円。アルバイトは15名程度で、すべて学生。

【A店長】そう思います。とくにうちのような学生メインの職場では、そういう努力がないとやっていけないという気持ちがありますね。主婦の人なんかがいれば、それはそれで違うんでしょうが……。

【B店長】うちでやっているのは、「みんなでこれだけの売上を目指そう」と共通の目標をつくることですね。社員である我々から見たら、そんなにすごい目標である必要はないんです。目標を超えたときには、自分が心から「すごい!こんなに売れたじゃん」と言って褒める。まわりのアルバイトたちも「今日はこんなになったんだ!」って喜びますし、やりがいも出るので。こまかい数字って意外に喜んでくれるんです。ほめ方に段階をつけて、どの段階で誰の心に響く・響かないということは自分なりに整理しています。

B店長(男性)某ファストフードチェーンで店長歴7年。現在は都内(23区外)の店舗を担当。学生、主婦、フリーターと多様なアルバイトを抱える。

【A店長】アルバイトの子は社会経験もないので、私は仕事を教えるというよりも、人として、社会人として成長してほしいという考えで接しています。なので、たまに「先生」とか言われちゃったりして(笑)。
彼らは学生なので「いつまでも店にいてほしい」とは思っていません。その子たちの今後の成長を考えて接することが、結果的には定着につながるのかなと思います。仕事を覚えてくれたこと、成長してくれたことにうれしさを感じる。「前はできなかったのに今日はできたね」「じゃあ今日はこれやってみようか」と段階を踏んで、本当にお店をまわせるような立場になってくれると、やりがいを感じます。

【B店長】1年生や2年生で入った子が、卒業まで残ってくれるとやっぱりうれしいですね。

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中原淳(なかはら・じゅん) [東京大学 大学総合教育研究センター 准教授]

東京大学大学院 学際情報学府(兼任)。東京大学教養学部 学際情報科学科(兼任)。大阪大学博士(人間科学)。
1975年北海道旭川生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員等を経て、2006年より現職。
「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発、リーダーシップ開発について研究している。専門は経営学習論(Management Learning)。
著書に、『会社の中はジレンマだらけ』(光文社新書)、『アクティブトランジション』(三省堂)、『職場学習論』『経営学習論』(以上、東京大学出版会)、『企業内人材育成入門』『研修開発入門』『ダイアローグ 対話する組織』(以上、ダイヤモンド社)など多数。


人手不足の時代に本気で考える アルバイト人材育成

各業界で「アルバイト・パートの人手不足」が深刻化している。いまこそ企業は「使い捨て人材」としてのイメージを捨て、真剣に「バイトの主力化」に取り組まなければならない――。こうした問題意識の下、東京大学・中原淳准教授とテンプグループは、小売・飲食・運輸業界大手7社8ブランドの2.5万人を対象に、国内初の「アルバイト・パート雇用」に関わる大規模調査を実施。これからの「バイト人材育成」に欠かせないポイントはどこにあるのか?

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