企業と学生の相互発見を阻む<br />大学と企業の間にある見えない断絶

 これは昨年度、ある就職情報会社が発表した就職人気企業ランキング。つまり大学生が選んだ人気企業のベスト20です。

 一見して、その傾向がわかりますね。このランキング、言い換えると「産業・企業のことを良く知らない者が選んだ人気企業」ということになります。

 もうひとつ、別のランキングを見ていただきます。

企業と学生の相互発見を阻む<br />大学と企業の間にある見えない断絶

 最初のランキングとは、顔ぶれがかなり違います。

 これは、かつて週刊ダイヤモンドが毎年まとめて特集化していた「企業イメージランキング」の、ある年の結果です。

 選んだのは、週刊ダイヤモンドの読者層。つまり、企業で一定期間働いた実績のある中堅ビジネスマンに投票してもらった結果です。

 このランキングからは、企業で働くオトナが評価する企業は圧倒的に製造業が多いことがよくわかります。一方、就職人気企業ランキングをみると、学生には製造業がほとんど人気がなく金融、広告、商社、シンクタンクに人気が集中しています。

 就職活動が進むにつれて、学生たちの視野は広がり、あるいは自分の限界を知り、選択肢は広がって行きます。が、スタート時点での認識は、このようなものです。

 大学生の人気がサービス業に偏っている。少し言葉を補うと「大学生が、そこで働きたいと思う企業はサービス業に偏っている」。これが企業選択におけるミスマッチの淵源なのかもしれません。

 スマートなイメージを持つ業種であっても、仕事そのものには試練もあり、高い職務能力を求められる。そのような実像を、だれがどのように伝えるべきでしょうか。