佐藤流子育ての「最大のポイント」は?

ムーギー 佐藤流子育ての、一番のポイントは何ですか?

佐藤 1番のポイント、ですか。うーん……笑顔ですね。

ムーギー 笑顔?それは、佐藤さんご自身の?

佐藤 はい。

ムーギー へええ。ちょっと意外かもしれません。世間では「お受験ママ」と言われている佐藤さんの1番のポイントが、自分の笑顔だなんて。

佐藤 お母さんが笑顔で、子どもが笑顔になる。そうじゃないと子育ての意味がないと思うんです。子育てがひとしきり済んだあと、「思い出したくもない」と思うような子育てはしたくなくて。それって、子どもにも失礼ですよね。

ムーギー おっしゃるとおりですね。

小学生までの子の親は「学びの旬」を逃すな

佐藤 それに、私が怒ったら家のなかが暗くなります。暗い家で暮らしても、お互い楽しくないでしょう?子どもの親になったのも、なにかの縁です。「お母さん!」と全幅の信頼を寄せてくれる子どもたちには、笑顔で接したくて。だから、感情のままにガミガミ叱ることはしませんでした。

ムーギー『一流の育て方』で取ったアンケートでも、「親に感謝していることは?」という問いに対して「叱るときに感情的にならず、過ちに気づくよう静かに教え諭したり、よくない理由をていねいに伝えたりしてくれた」といった回答が多くありました。その親の姿勢こそが、子どもが自分の感情をコントロールする力にもなり、将来のコミュニケーション能力に影響を与えるんですよね。佐藤さんは、感情的にならないためにどんなことに気をつけていましたか?

佐藤 自分なりのノウハウを考えることですね。感情的になっている自分に気づいたら、感情的にならない方法を考える。笑顔じゃない自分に気づいたら、笑顔になる方法を考える。たとえば私の場合、カッとしそうになったときは「事実をスルーして考える」ようにしていました。

ムーギー 事実をスルーする。というと?

佐藤 子どもが悪い点数のテストを持って帰ってきたとき、「なんでこんな点数なの!」と声を荒げる。これは、「点数が悪い」という「事実」に着目した感情的な怒り方です。そうではなく、「どうしてこの点数になったの?」と、普通のトーンで「理由」を聞くんです。その答えを受けて、「じゃあ、次はどうしようか?」と解決案を出し合います。

ムーギー たしかに、本書のアンケートでも「失敗しても叱らなかった親」はとても感謝されていました。失敗を叱っていたら、子どもは挑戦そのものを嫌がるようになります。そして、失敗を認めたくないから、噓をつくようになる。主体的にリーダーシップを発揮する子どもを育てた多くの親は、失敗そのものには怒らず、「過ちを繰り返さないためにはどうすればいいか考えよう」と促しています。