父が与えてくれた「自分の頭で考える」というプレゼント

ムーギー つくづく、佐藤さんは普通のママと違いますよね。オリジナルのノウハウをつくったり、子どもたちに自分の言葉で思いを伝えたり……。なぜ、こんな佐藤亮子さんに育ったんですか?

佐藤 本の影響はあるかもしれません。読書が好きで、いつも書き手にツッコミを入れながら読み込んでいたので「自分の頭で考えるクセ」がついた気がします。

ムーギー ああ、やっぱり読書なんですね。『一流の育て方』の中で、「最も親に感謝している教育方針」に対する自由回答でも、一番多かった回答の一つが「読書習慣を身につけさせてくれた」ことへの感謝でした。

佐藤 小さいころの記憶は、いつも父の膝の上。そこで「浜田広介全集」を読んでもらっていました。「〜でありました」といったちょっと古い日本語が美しくて、いまも思い出されますね。

ムーギー お父様が本好きだったんですか?

佐藤 そうですね。家には、「文藝春秋」「婦人公論」「サンデー毎日」「週刊朝日」が創刊号からすべて揃えてありました。

ムーギー ええっ!それはすごい環境ですね。

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佐藤 父が本をどんどん買ってくるので、私も本が大好きになって。少し大きくなると、父が私の名前でツケで買えるよう近所の本屋に話をとおしてくれたので、遠慮なく買わせてもらいました(笑)。

ムーギー いやあ、本書の2章の「視野を広げる」や「読書習慣を身につけさせる」といった内容と、びっくりするくらい共通点があります。親にしてもらっていちばん役に立ったことを聞いたアンケートには、「お小遣いはなかったけれど、本代だけは出してくれた」とか、「いつも古本屋に連れていってくれた」といった回答が多かったんです。小さいころの読書習慣は、大人になってからも影響しますからね。佐藤さんもお子さんが3歳までに1万冊の絵本を読み聞かせたと書かれていましたが、やはりお子さんも本好きですか?

佐藤 ふふ、それがそうでもないんです(笑)。いまも東京に行くたびに「本を読みなさい」と言ってはいるんですけど、なかなか……。あの読書量だと、社会に出たときにいつか「そんなことも知らないのか」と言われると思うんですけど。まあ、恥をかいたら読むだろうと諦めています。

ムーギー 習慣って、いまは鳴りを潜めていても、大人になってからふと現れたりしますから。

佐藤 そうだといいんですけどね。

ムーギー さて、娘さんの受験が終われば、来春には子ども4人が全員手離れです。これから、子育てに費やしてきたエネルギーをどちらに向けていくご予定ですか?

佐藤 本を出してあらためて知ったのですが、世の中には悩めるお母さんが本当に多いんです。そんなお母さんたちに元気を与えられるように、講演などで発信していきたいですね。

ムーギー 佐藤さんのポジティブなパワーはお会いするだけで元気が出るし、佐藤流の本質的かつ愛情溢れる育て方を知って、助かるお母さんはたくさんいると思います。ぜひ、日本のお母さんたちを明るくしてくださいね。今日はありがとうございました!

(構成:田中裕子 撮影:柳原美咲)