生活のリズムをつくっていくには、そのスタートが大事です。いくらパターンをつくっても、始まりの時間が遅れると、とたんに予定が狂い始めてきます。

 現在はある製造業の支店長を務めるOさんは、40代の半ば頃から朝型の生活を実践しており、今でも変わらず毎朝6時37分に家を出て、6時47分の電車に乗り、7時半に出社するのが習慣になっています。7時半から9時までの1時間半が、Oさんの「コアタイム」(最も生産性の高い時間帯)です。

 Oさんは出張も多く、その場合はだいたい家を出るのが早すぎるのですが、新幹線や約束の時間に合わせて家を出るのではなく、いつもの6時47分の電車に合わせて行動しています。いつもより1時間遅く家を出ても間に合う場合でも、彼は家でゆっくりしてから出発するということをしないのです。

 早く到着する場合は、余った時間を活用して本を読んだり、中長期計画のたたき台をつくったりと、じっくり考えるための「ボーナス時間」にしているそうです。

 支店長ともなると、ほとんど自分の時間はありません。部下の相談に乗り、報告に対する指示を出し、関係部門との調整や会議、担当役員への数字の進捗や対策の報告でアッという間に1日、1週間、1ヵ月が終わってしまうそうです。

 その中で、時間管理はOさんにとっては仕事の命綱となっており、できるだけ予定を崩さないようにするためにも、「まとまった時間」が生まれやすい環境にするためにも、毎日同じ生活リズムを保っているのです。

 ちなみに、もう一つのポイントは、平日だけでなく、休日も同じ時間に起きるということです。さすがに電車には乗りませんが、休日だからといって寝坊せずに同じ時間に起きることで、家族が起きる前の時間を有効活用できるため、休日の朝のほうが何に対してもじっくり取り組めるまとまった時間が確保できると言います。

 なお、前日の夜がどんなに遅くても、起きる時間は同じです。睡眠時間が足りなければ自分が痛い思いをするので、次からは帰宅時間に気をつけたりと、自然に適正化してくるそうです。

 毎朝のスタート時間を一定にすることで、立てた予定を完遂できる可能性が高まると40代で知ったことが、自分のサラリーマン人生において大きかったとOさんは振り返ります。

 予定がついつい狂ってしまう人は、まずスタートの時間をルール化することから始めてみてください。平日も休日も出張でも夜が遅くても、必ず朝のスタートを同じにすることで、時間管理の精度は格段に上がります。

【ポイント】平日も休日も、朝のスタート時間を一定にする

第10回に続く(6/15公開予定)