ヤナセ社長 西山俊太郎<br />ディーラー受難の今こそ多ブランド展示への変革をPhoto by Kazutoshi Sumitomo

──2008年のリーマンショック以降、輸入車販売業界は苦境に立たされている。

 ディーラー業界に身を置いて40年になるが、嘘のように売れなくなった。これまでは販売台数が前年度から10%減少すれば大騒ぎしていたが、今は30%減。尋常ではない。

 リーマンショック直前の08年夏に国内業界団体が需要予測のレポートをまとめ、少子高齢化を迎えて20年には自動車販売台数はかなり減り、このままの業界構造では国産車を含めたディーラーの9割が赤字になると警鐘を鳴らした。その内容に危機感を抱いていたが、1年もたたないうちに現実のものとなってしまった。

──どのような変革に迫られているのか。

 この業界は変化の乏しい古い世界だった。そもそもディーラーがなぜ存在するのか。私は入社して間もない頃、「メーカーが直接販売すればお客様はディーラーの手数料がないぶんだけ安く買えるではないか」と輸入先の関係者に尋ねた。すると「ただクルマを生産して待っているだけでは、何がいつ売れるのかわからない」という答えが返ってきた。メーカーはディーラーとのあいだで引き取り契約をするからこそ、生産台数の計画が立ち、コストが計算できるというわけだ。

 では、われわれはユーザーのためというよりも、メーカーのための存在なのか。その問題提起こそ変革を導き出すカギとなる。