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外資系トップの思考力
【第6回】 2016年6月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
ISSコンサルティング監修

テクノロジーの力で働く環境を変えれば
人と出会い考える時間が増えて潜在力が発揮できる
【レノボ・グループ留目真伸社長×日本マイクロソフト平野拓也社長 対談2】

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めまぐるしく変化する現代において、企業のリーダーに求められる思考力とは、何をどのように見極める力なのでしょうか。この問いに対する外資系企業のトップ10人の回答をまとめた書籍『外資系トップの思考力』から、レノボ・グループの留目真伸社長と日本マイクロソフトの平野拓也社長のスピンアウト特別対談をお送りします。
近い業界で同じ40代のリーダーとして活躍し、奇しくも社長就任発表も同日だったという不思議な縁のあるおふたりが、リーダーに求められる思考力のポイントはどこにあるのか、そして、その思考力を実際に生かして両社が手がけるコンピューティング・ビジネスの未来をどのように考えているのか、語り合います。(執筆・構成:谷山宏典)

お客様が新たなサービスを自分事と感じる
ストーリーとして語りかける

マイクロソフトとレノボのビジネスの中心にあるデジタル・トランスフォーメーション。企業だけでなく、私たち個人の働き方をどう変わる/変えるべきかにも話は及んでいく対談後編です。「思考力」をフル回転させて、みなさんも考えてみてください!

留目デジタル・トランスフォーメーションの核心は、デジタル化された情報でいかに効率的につながっていくか、です。しかもそのつながりを、社内のみならず、社外のパートナーやサプライチェーンにまで広げて、新しい価値やチームを作り上げていくことが重要です。
 しかし、私自身も日本企業で働いた経験があるのでよくわかりますが、日本の企業体というのはフレキシブルな部分は少なく、どちらかといえば共同体的で、「自分たちだけで事業をやっていきたい」という思いが強くあります。また、個々の社員を見ても、これまでは自社の中で仕事に必要な知識や技術はすべて身について、その知識や技術だけで自分の仕事も完結できる環境でした。
自社への反省も込めて言うと、これからの時代、そうした閉じた共同体で一から十まで何でも自分たちでやるんだというスタンスからは脱却しなければなりません。デジタル・トランスフォーメーションによってもっとオープンに、もっとフレキシブルになって、社内だけではなく、社外の人たちとも情報の共有をしてこそ、イノベーションを起こすことができるし、むしろそこまでできないとこれから時代の仕事や組織は成り立たないと思います。

平野 おっしゃる通りで、そこの重要性を理解されている企業とそうではない企業とでは、きっと今後5年間で成長力においてものすごい差が出てきますよね。具体的に言えば、クラウドコンピューティングに対して、単にコスト削減の道具と見るのか、それともAI(人工知能)やマシンラーニング(機械学習)などと組み合わせて、新しいビジネスの構築のために徹底的に使い倒すのかとでは、同じクラウドを使ったとしても成果はまったく違ったものになります。
 もうひとつ、セキュリティに対して、ものすごく不安を感じていらっしゃる方も多いですね。

留目 その不安ゆえに「自分のビジネスには関係ない」と最初から拒絶してしまっている人も多いです。

平野 だからこそ、われわれには、お客様が新しいテクノロジーを自分事として感じられるようなストーリーを語れるかどうかが問われています。そのシナリオはお客様によって千差万別で、近年よく言われているインダストリー4.0、つまり第4次産業革命というテーマなのかもしれないし、グローバライゼーションや地方創生という言葉になるのかもしれない。そこはまさにお客様のニーズの本質をつかむことであり、お客様にもっとも刺さるテーマをこちらが選ばなければなりません。お寿司を食べたがっている人に、ステーキを出すわけにはいきませんから。少なくとも相手に食欲があるのであれば、こちらはできるだけ相手が食べたいものを食べやすいかたちで提供する責任があります。それこそが今後われわれが日本で取り組むべき課題です。

留目 とはいえ、第4次産業革命という点から言えば、お客様の希望以前に、あらゆることがテクノロジー・ドリブンとなって高度にデジタル化された世界が実現することはもはや明らかです。ですから、お客様に対しても、その世界にどのように適応していくかという観点からさまざまな提案をしながら、お客様の理想をかたちにしていくプランを作っていくことになるでしょうね。

平野 お客様のデジタル・トランスフォーメーションのジャーニー(旅)を一緒に歩むにあたって、われわれに求められているのは、これまでの製品やソリューションの販売のように「ツールありき」の考え方ではなく、「インパクト・ベース」の考え方だと思います。
インパクト・ベースとは、従来型の積み上げ式の考え方ではなく、顧客にもっとも強い影響を与えるインパクト・ポイントを決めて、そのポイントに対して何ができるかを考えていくことです。デジタル・トランスフォーメーションの必要性を説くにあたって、先ほど話した「アンカンファタブルだけど、理にかなった提案」というのはまさにインパクト・ベースの考え方から生まれてくるものです。具体的に何をするかという段階になれば、われわれはITベンダーですから結局はツールということになるのですが、考え方の順番を明確にして、社内に浸透させていく必要性を感じています。

留目 そもそも今の時代って、誰にとってもアンカンファタブルですよね。今は第4次産業革命の真っただ中で、誰もが変わることを強いられています。ところが人間の性として、たいていのお客様は「変わりたくない」「今まで通りのやり方でやりたい」と思っていますから。変わりたくないお客様にとっては、どんな提案もアンカンファタブルに映ってしまう(笑)。

 とはいえ、すでに時代は新たなフェーズに向かって動き出しており、われわれが生きるこの世界は高度にデジタル化された環境へと移り変わっているので、もはや「変わりたい/変わりたくない」という次元ではなく、変わらざるを得ない。その変化を上手くナビゲートしていくことが、われわれITベンダーの役割だと考えています。
 そして、その役割を果たすには、自分たち自身がデジタル・トランスフォーメーションをドライブさせて、業務のオペレーションや社員のワークスタイルに変革をもたらさなければなりません。その成果をお客様との対話の中でしっかりと提示できれば、お客様の不安を和らげたり、デジタル・トランスフォーメーションの必要性を理解していただくきっかけになるのではないでしょうか。

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